足ることを知らず

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「東芝の悲劇」を読んだ

東芝の悲劇を読んだ。


東芝は三菱、日立の競合企業に対して、「公家」と呼ばれるほど非常に品が良く、公明正大性のある企業だったそうだ。その東芝が考えられないような不正会計や、ありえないプレミアムを載せた企業買収にどうして走ったのかがこの本にはつぶさに書かれている。

この本の面白い点は、東芝のガバナンスが崩れていった理由が、「公家の中に放り込まれた野武士たちが権力を持ったこと」として書かれている点である。
野武士達は、自分たちが権力を持った際に、自分が御しやすい人間を下に置いていく。それだけなら問題がなかったのだが、野武士同士の対立が始まった瞬間に、非常に高いコンプライアンス意識を持つはずである公家組織が瞬時に犯罪組織に近い低ガバナンス組織に姿を変える。

所謂真面目な集団と低い組織コンプライアンスは独立の概念であり、両者は同じ組織で成立するのだ。

ニュースやスキャンダルを本で追う意味
単純にこのニュースを情報として追いたいのであれば、ウェブで情報を集めればいいと思う。しかしながら、それでは、表面的な情報を偏った形で吸収してしまうことにほかならない。
ウェブで情報を集めるよりは遥かに体系的で深い知識を得ることが出来るのも、本という媒体でこのトピックを吸収したときの良さだと思う。ニュースに比べ、一つの情報を深く追える分、より普遍的な法則や事実に気づきやすいのも本で追う利点だと思う。

目的意識が大切
このようなドキュメンタリー形式の本を読む際には目的意識をちゃんと設定することが大事だと思っている。これによって得られる表面的な知識は、一般的なビジネス書よりも汎用性の低いものだと思っている。しかしながら、これは現実に起こったことであり、(バイアスが入って書かれている本では有るが)まぁあとはこのような本に出てくる人はかなり優秀なビジネスマンであるはずで、彼らがどのような成功体験をどのようなキャリアで収め、そして最後どのように失敗したのかということを知っておくのは個人として悪い勉強ではない。