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コロナ禍での英語記事・論点10選

コロナが発生して以来、グローバルトップ、及び経営トップのリーダーシップが試されている状況が続いていますが、日本にいると、何が論点や話題になっているのか、なかなかキャッチアップしにくい上に、断片的な情報であるために、現地人とは全く異なる解釈での報道がそのまま日本で流れているといったこともあるようです。

 

そこで、日本語の二次ソースではなく、ぜひBBCThe Economistの一次ソースで読むべき記事をまとめました。

 

こちらでは私個人の意見を述べることは下記にとどめ、基本的に参考記事をバンバン紹介していくことにします。

 

まず、このコロナの状況で、何が正しいというのはもはや個人で判断できるレベルではないというのが正直なところだと思います。政府の要人ですら、後の歴史を振り返らないと、今の打ち手が正しいかはわかりません。しかしながら、やってみないと何が効果的かは全くわからず、いたずらに死者を増やしていくことになります。

よって私達にできることは、政府の打ち手の正しさを批判することではなく、その打ち手を担う人たち、主に医療従事者や小売店のレジに立っている、最前線の人たちに敬意を払い、できるだけ負担をかけないようにすることです。そして、自分が死なないようにすること。あなたが死んでも、結局政府が責任をとってくれるわけではありません。最後は自分の命、自己責任ということを頭に入れつつ、危急の事態でない限りは公共の利益に配慮するのが、あるべき人間の姿勢ではないかと思っています。

 

1.多様なロックダウン

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各国ロックダウンの状況


一口にロックダウンと言っても、実は同じヨーロッパの中でさえ各国で大きな差があります。私が住んでいるUKは運動のための外出は子供、大人含めて許可されており、比較的ゆるいロックダウンといえますが、例えばフランスでは外出許可証が必要ですし、スペインは買い物以外の外出は原則禁止だったと思います。また、子供の外出は完全禁止です。(4月27日現在。おそらく5月くらいから緩みますが。)

 

下記はBBCがロックダウン実行のタイミングなどを図解したものです。あとは各空港のフライト数の2019年との比較なども面白いです。東京は比較的変わらない状況ですが、ヨーロッパの各空港のdeclineは極めて深刻です。

Coronavirus: The world in lockdown in maps and charts - BBC News

 

 

 

2.スウェーデンの集団免疫政策

ヨーロッパの中でひときわ異質な戦略を取っているのが、北欧のスウェーデンです。

飲食店は変わらずオープンしており、みんなお酒を飲んだりしています。政府として明確に集団免疫へ舵を切ったことは驚くべき独自の方針だと思います。犠牲者も辞さず、という姿勢です。

Lockdown, what lockdown? Sweden's unusual response to coronavirus - BBC News

こちらは少し時間が立ったあとの考察の記事です。

Coronavirus: Has Sweden got its science right? - BBC News

 

3.ブラジル及び南米の脆弱な医療体制

医療自体のレベルではなく、医療サービスを提供する組織体制がかなり脆弱です。軍隊、警察などの病院組織が分離されており、各組織間の連携も取れていなさそうです。

Pandemic preparedness - Latin America’s health systems brace for a battering | The Americas | The Economist

 

加えて、ブラジル大統領はロックダウンに反対しており、未だにウイルス拡散を止める打ち手を実行していません。

Coronavirus: Brazil's Bolsonaro joins anti-lockdown protests - BBC News

 

ヨーロッパの次のリスク地帯となるのはアメリカ大陸になる可能性が示唆されています。

 

 

 

4.企業の動き

間違いなく、GAFAにとって、コロナは自分たちの影響力を強める結果になりました。欧州政府から、寡占などの批判にあってきたこれらの企業は、批判される存在から、頼りにされる存在へと変化をしています。彼らが抱えているビッグデータは、政府にとっては非公式の監視データになりえるのです。

Winners from the pandemic - Big tech’s covid-19 opportunity | Leaders | The Economist

 

オンライン企業以外にも、コーヒー、自転車、ボードゲームなどの需要が高まっています。

Coronavirus: Six things that are booming in sales - BBC News

 更にLVMHはアルコールハンドサニタイザーの生産をはじめました。このようなSocial Goodへの各企業の動きはこの状況下では、新たなブランディング機会になるかもしれません。

Coronavirus: Louis Vuitton owner to start making hand sanitiser - BBC News

5.旅行業界、航空業界の再生不能なダメージ

いくつかの航空会社はすでに身売り及び政府支援がなければ、生き延びれない状況に陥っています。

Coronavirus: Airlines ‘entering danger zone’ - BBC News

ヴァージンの総帥リチャード・ブランソンはVirgin Atlantic航空の身売りを考えているようです。

Coronavirus: Virgin Atlantic to seek bailout in coming days - BBC News

 

 

6.臨時施設の建設

イギリスではロンドンの幕張メッセ的なイベント施設Exelロンドンをまるごと病院にしました。そこで、キャビンアテンダントなど近くの空港で働いていた労働力も活用するようです。一応救命の作法を知っているので、再雇用もしやすいのです。

Coronavirus: Nightingale Hospital opens at London's ExCel centre - BBC News

 

UKでは更に死体収容所が足りないため、大学を死体収容所にする動きも出ています。

Coronavirus: Temporary mortuaries to be installed in Sussex | The Argus

 

7.WHOへの不信感

台湾への対応が一番顕著でしたが、結局中国への忖度を組織的に行っているという見方が大勢です。(台湾を国として認めると、中国のメンツが立たない)

Why Taiwan has become a problem for WHO - BBC News

テドロスの中国びいきは海外でも批判の対象となっています。

Coronavirus: WHO chief and Taiwan in row over 'racist' comments - BBC News

これらの背景があり、アメリカはWHOへの出資を止めました。

Coronavirus: US to halt funding to WHO, says Trump - BBC News

 

8.アメリカ対中国

アメリカにおいては、このコロナ対応が今年の大統領選の分水嶺になりえます。よって、非常に難しい州レベルの統治と大統領命令のコンフリクトやそもそもの施策の評価がクリティカルになっているという背景があります。

Coronavirus: Could Donald Trump delay the presidential election? - BBC News

How will coronavirus change the US presidential campaign? | US news | The Guardian

 

加えて、緊迫度が高まる中国との関係も見逃せません。お互いに三文記事のようなやり取りをしている状況です。

Trump angers Beijing with 'Chinese virus' tweet - BBC News

 

一方でこの問題におけるトランプの施策の遅れは明らかであり、一方で計測の曖昧さはありながらも中国がパンデミックを収束させた実績は否定できるものではありません。ソ連解体以降封じ込めた社会主義への傾倒が出てくる可能性、及び中国の政策正当化は免れないでしょう。

Thanking big brother - China’s post-covid propaganda push | China | The Economist

 

9.プライバシーVS監視

8で述べたアメリカVS中国の対立の先にある問題が、このプライバシーの問題だと思います。グーグルとアップルは下記の「感染者との濃厚接触情報」のみを活用したプライバシーフレンドリーな施策を提案しました。

Coronavirus: Apple and Google team up to contact trace Covid-19 - BBC News

しかしながら、この方法では中国の手法に比べて、下記3点での大きな歩留まりが発生します。

・感染が自己申告であること

・Blue Toothを常時ONにしている必要があること(Blue Toothしか接触判定に使える情報がない)

・濃厚接触者と思われる人間への強制力はなにもないこと。中国では、該当した瞬間に社会インフラへのアクセスが制限されます。

 

しかしながら、中国のやり方がいいというわけではなく、慎重に判断をしていくべき問題です。これについては下記で、”ホモ・サピエンス”及び”ホモ・デウス”の作者であるYuvalが持論を述べています。

 

www.ft.com

共産主義の監視者による秩序ではなく、個人の良識と科学的な根拠に基づいて秩序を形成していくべき、というのが彼の論旨です。我々が手を洗うのは、手を洗うことを監視されているからではなく、手を洗うことが科学的に効果があると思っているからですよね?あらゆる個人の行動はこのように科学的な裏付けがされたものから、動機づけされるべきという意見でした。

 

10.ポストコロナ

世界はすでにコロナ騒動の”後”の世界に目を向け始めています。

読み応えのある&グローバルで話題になっている3つの記事を用意しました。

www.mckinsey.com

 

www.wto.org

 

www.axios.com