Mckinseyから下記リンクのレポートが出た。
How artificial intelligence can deliver real value to companies | McKinsey
リンク先のレポートもなかなか読み応えがあって面白いので、是非読んでほしい。
業界別にAIの投資や将来機会、レベル格付け等を行っているのだが、面白い点としては、このレポートが出ること自体が、これまでのAI論争と異なり、実質的なビジネスインパクトが生まれている証拠だと思う。
これはレポート内にも経緯が書かれているが、結局インフラパワーが理論的な要求を十分満たすことになったのが一番大きい。
まだはやりAIという言葉のDefinitionをうまくとらえて、定量的に整理することはかなり難しいのだろうなと感じた。
例えば、AIの技術要素を下記の6つに分けているが、勿論重複しまくっているし、MECE感はない。
・自然言語処理
・自動運転
・スマートロボティクス
・バーチャルエージェント
・コンピュータービジョン
・機械学習
業界別では、先進業界には何の意外性もないのだが、後進とされている業界が明らかに破壊的な影響を受けそうなところで、意外だった。
教育、ヘルスケア、金融なのだが、これは業界としては後進だとしても、業界内の先進企業と後進企業で大きな利益格差が生じると示唆されている。
我々のいるメディア業界は、注目度は高いものの、ぶっちゃけ団子にならざるをえないと思う。というのも、誰がGoogle, Facebookがつばを付けている領域以外で「メディアならではのAIの活用」をリードできるのだろうか。我々はGoogle、Facebookをビジネスパートナーにしていた分、AIに注目するのはとても早かったし、活用に関してもアイディアを出したが、まだ何一つとして圧倒的な実績を残したもの・利益を作り出したものは、先述の2社以外いない。
一方で、エージェンシーの労働集約型のモデルはまさにAIにとって、本来一番手を入れやすいところである。ただ、デジタルエージェンシーがここ数年やってきたこととはそのルールを複雑化/サイロ化させ、AIのレバレッジを弱める若しくは広告主に弱く見せかけることではなかったのか?戦略なき戦術が横行していたようにも感じる。細かく細かくPDCAを回して、一体いくらのOutcomeがあったのだろうか。
そして、このPDCAをAIなら簡単に回せるという風潮もあるが、大反対である。デジタルですべて商習慣が完結するビジネスなら良い。だが、そうでない場合、すなわち「データが完全ではない場合」は、AIが得意とする領域ではない可能性が高い。アルファ碁は、完全情報ゲームは勝てるかもしれないが、不完全情報ゲームでは、アベレージを残すだけで終わるだろう。
重要なのは、産業別の業務及び付加価値の中で、何がAIに任せられることなのかを現在と未来に分けて正しく理解することである。広がっていく領域だからその整理は容易ではないがどうも整理の前に走り出す傾向が見受けられる。その先に待っているのは総花の投資だ。選択と集中が実は一番大切な領域なのである。
次の時代は、もう一度AIの可能性を再定義する時代になると思っている。再定義して、正しい方向に投資をし、利潤を得なければ次の投資が出来ない、そのサイクルが正に始まろうとしているのではないだろうか。