足ることを知らず

Data Science, global business, management and MBA

人事関連で参考になった珠玉の4冊。

人事の成り立ち

日本における人事関連のディスカッションを歴史を辿ってトピックだけキャッチアップできる良書。
実は日本の終身雇用というのが、歴史的経緯によって形成された最適解だったということがよくわかる。それが今日本の中で社会的な問題になっているものの、そもそもの日本人の教育や文化的背景を考えると、本当に終身雇用からの脱却やジョブ型で勝てるのか?というのが甚だ疑問だと感じてくる。流行りの話に飛びつく前に絶対に読んでおくべき本。

Time talent energy by Bain and Company

生産性向上が叫ばれて厳しいが、生産性をどう定義し、そのためにどのようなアクションを起こすことが、本当の意味で(長期、短期で)生産性向上につながるのかが書かれている本は少ない。この本は、著者の経験的な裏付けだけでなく、ベインらしいデータでの裏付けもある。さらに、直感的に正しいと思われる結論がいくつも書かれていて、もちろん日本でワークしない事項も多くあるのだが、一読の価値があると思う。


アライアンス by Linkedin

ジョブ型の雇用形態の究極系というのだろうか、ミッションベースでの企業と従業員の関係性を描いている。これを実現できる企業は一握りだろうし、これを嗜好する従業員も多くはないだろう。ただ、将来的にこれが実現されれば、「楽しくない仕事」「成長を感じられない仕事」「やりがいを感じない仕事」という企業にとっても従業員にとっても不幸な機会というのは劇的に減るかもしれない。もちろん従業員のマインドセットや採用の際にできることは色々あるかもしれないが、重要なのは、仕事という在庫と、従業員という顧客をどうやってマッチさせるのかというシンプルな課題に落とし込んでいることだ。理想論かもしれないが、その理想論を追う価値はあると思う。

No rules by Netflix

カルチャーという一番難しい話題に関して、最もエキセントリックな企業であるNetflixのカルチャーについて話している。因みにシリコンバレー各社の中でも同社の報酬は群を抜いているのは有名な話。この本を読むと、「尖ったカルチャー」を作ることがどれだけ人事施策に影響を及ぼすかがわかる。逆ではない。やはり、カルチャーから人事施策が始まるのだ。一方で新しく形成しようとするカルチャーが人事施策と一貫性を持たず、陳腐化していく例が日本では多いかもしれない。
mikkeldengsoe.substack.com