会社の読み方
僕が結構凄いなぁと思っている本の中に会社の読み方というのがあります。企業指標で企業の病気を判断したければ、これが一番です。医者で言うと内科の教科書に近いかも。
http://www.amazon.co.jp/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E8%AA%AD%E3%81%BF%E6%96%B9-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AB-%E6%9D%BE%E7%94%B0-%E4%BF%AE%E4%B8%80/dp/4532133254
網羅性と実務性を兼ね備えている本ってなかなかにありませんからね。法制関係の話も網羅してあります。
例えば、ROA、ROEとPER、EPSの違いがわかる人はいたとしても「読み方」についてしっかり説明出来る人は少ないなぁと。
ROA(Return on Assets ratio)-資産(総資本)利益率
こちらは「資産を活用した結果、どれくらい利益が出たか」を測る指標なわけです。
でもこれだけだと意味がない。読み方まで考えるならば、この指標が高い=資産の効率的な運用が出来ているということに等しいわけです。ですから、著しく低い場合というのは資産が馬鹿みたいに膨らんでしまっている割に全く利益が出ないということになりますね。
これだけで、ROAは完璧でしょうか?
いいえ。
最も重要な知識を忘れています。それは「どの値が標準的なのか」ということです。
例えばキャノンの2007年連結ベースのROAは15.5%です。
これって高いの?低いの?っていう話なのです。
答えをいえば、製造業の平均は6%であり、はるかに優秀な資産効率だと言うことが出来ます。
要は「正常」な状況を知らずして「異常」な状況というのはわからないということです。
例えば血糖値だって、血中の糖分濃度であることは皆が知っていることだと思いますが、その正常値を知らなければ意味はありません。
勘のいい人はもう気付いたかもしれませんが、痔の疑いのある人間の血糖値を必死に測っても痔が治らないのと同じように、「目的」によって、見るべき指標は変わるのです。
例えば、上のROAというのは長期的に会社を運営する立場であったり、株を大量保有をする立場であれば気にすべき指標ですが、ただ単に投資によってお金を得たいという人間にとってはROEで企業を比較した方が効果的かもしれません。
ROE(Return on Equity ratio)株主資本利益率
当期純利益/株主資本=当期純利益/売上高(収益性指標)×売上高/総資本(効率性指標)×総資本/株主資本(財務レバレッジ)
投資家にとってはこれらの収益性と効率性と財務レバレッジの全てが総合された値を読みこんだ方が効率がいいですから、この指標はとても便利なわけです。逆に企業コンサルをする立場からすると、「どこに問題があるか」を明らかにしたいため、このように様々な原因を編み込んだ指標は余り使えないということになるんですね。
もっと違う使い方も出来て、この指標が良く市場では見られるので手っとり早くこいつを高くしたいということであれば、総資本に対する株主資本の割合を小さくすればいいわけですから、不況抵抗力を低くする方法なんかが提案されやすいことになります。
長々述べてきましたが、去年出会った中では人生を通して使える本の一つになりました。
EPS(Earning Per Share)1株当たり利益
当期純利益/発行済み株式数
PER(Price Earning Ratio)株価収益率
最高(最低)株価/1株当たり利益(=EPS)
PERは少し難しいかもしれないですね。これは株主からの会社の将来性に対する期待度を表わしています。
要は1株当たりの利益ってことは配当につながりますし、長期保有する価値があるかどうかの指標になります。ネットベンチャーなんかは50倍のPERだったりします。大人気なわけですね。
次は結構ベーシックな数値(営利とかけいつねとか)に考えてみたいと思います。電通の営利って低いんですかね?みたいな。
※あとがき
ていうかびっくりしたんだけど、セガの2009年通期の営利おかしくね?と思っている。
セガの経営はヤバいヤバいって聞いてたけどガチヤバ。
あと全然関係ないが、いつも思うんだけどセグメント別売上高の欄で大して意味ないセグメントの切り方してるところ多いよね。