下記の本を読みました。
かなり筆者の好き嫌いと解釈論が出ているので、その点はよくも悪くもユニークかと思いました。多分スティーブジョブスが結構嫌い。笑
あとは少し前の本で、翻訳が1年遅れって感じです。あと、Netflixは四騎士候補にも入っていなかったので、その点も少し不満な点かなぁ。
下記に四騎士それぞれがどう描かれていたか、サマリーを書いておきます。
1.Amazon
アマゾンの強みというのは、とても低い短期的な収益への期待値を元に安く資本を集めてこれる点にある、というのが骨子でした。すなわちベソスのストーリーテリングで安い資本を得て、スモールスタートの事業をいくつも起こす、それの撤退、追投資をうまくサイクル化していることが、Amazonの強みだというのです。
確かにAmazonは、事業初期の投資会社としての先行戦略と事業会社としてのオペレーション効率追求がコアコンピタンスである印象が強いです。
2.Apple
スマホのマーケットシェアは14.5%だがマーケット利益の8割はAppleが持っていってるそうです。筆者はこのprofitabilityの理由をラグジュアリー性、性的魅力にも通じる商品のポジショニングと帰結していましたが、若干これには首をかしげました。
14.5%はさすがにラグジュアリーに行くには、シェアが大きすぎるし、SEのような廉価版を買う人もAppleファンの中には大勢います。Apple Watchを持っていたところで、ロレックスのように「あ、お金持ちなんだ」「あ、おしゃれなんだ」というシンボルになることもありません。基本的には「あ、テクノロジー好きなんだな」って話しかないのです。
どちらかというと、僕はAppleのブランディングがNikeに近くなっていると思っていて、ブランドを語るためのストーリーがしっかり語られていることと、そのブランドを通したUI、UXがストーリーと相反しないというとてもシンプルな原理を守っているだけだと感じています。
書籍内でいくと、小売の直轄経営、職人気質のプロダクトというところは、上記の話似合うと思います。筆者がラグジュアリーを勘違いしている一つとして、ラグジュアリーはみんなの手に渡ってはいけないものだという点を忘れています。全員に普及すれば、それはただのコモディティです。ラグジュアリーブランドはそこを目指してはいません。一方でAppleはコアファンを抱えながらも、すべての人に自分たちのブランドを普及するところをゴールにしているような気がします。
3.Google
人々は神になにかを問うことをやめ、Googleに何もかもを聞くようになりました。それは、確かなことだと思います。そして、より理性的な判断をあらゆる局面でするようになったとも思います。
あらゆるニュース、情報サイトがGoogleに飲み込まれ、支配されていく様を、とてもevilな象徴かのようにこの本は描いています。
一方で、Googleという企業から検索エンジンを取ったとき、そこに残っているものはあまりに少ないという一言は目ウロコでした。
4.Facebook
どちらかといえば、Googleに対して、より感情的な情報がやり取りされるプラットフォームとして、facebookは取り上げられています。そして、世界最大の個人情報プラットフォームだとも。友達、というネットワークは確かに個人の属性を示すには最高の情報源であり、またモバイル中心である点もfacebookの大きなリードだと思います。
問題は、3と4の両社が広告ビジネスを糧にしており、その個人情報利用には将来的に制限がかかるであろうと指摘されていました。一方でその制限はこの二社以外の企業にとってはとてつもない負担で、より二社のプレゼンスが増していくだろうということも。
最後にこの本に書かれていた覇権の8遺伝子を書いて終わりにします。
このうち、3と8は、中国を始めとした異質市場のせいで少し崩れつつある気がします。
また、6はAIというよりも芳醇で有用なデータを意味すると思っていて、2と6の仕組みこそが勝者により富を集中させる強いサイクルを生み出したのだと感じています。
- 商品の差別化
- ビジョンへの投資
- 世界展開
- 好感度
- 垂直統合
- AI
- キャリアの箔付けになる
- 地の利