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イギリスの食品ラベルの変遷からデータビジュアライゼーションのリスクを考える

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今のイギリスの表記は結構攻めていて、脂肪、ナトリウム、砂糖、食塩の4要素について、トラフィックシステム(信号表記)を取っている。ちなみにイギリス4年住んでて、まったく気づかなかったOrz

The traffic light system, which appears on the front of UK food, offers a quick and clear message for nutritional value (Credit: Alamy)

 

 

そもそも、昔から一日の必要栄養量からの%が表記されているので、100%を超えたら、取りすぎというのが明確でわかりやすい。

2016年の変更で、よりカロリーとポーションの切り取り(何グラム当たりか)を強調するように変更されている。あと、砂糖に対しても表記が少し厳しくなっている。

 

 この「明確でわかりやすい」という点がデータ解析のプレゼンテーションではとにかく大切になるわけだけど、同時に大きなリスクをはらんでいると思う。

 

①体のサイズ等、適正量ミスリーディングのリスク

まず、信号制度にすることによるリスクだが、わかりやすくした分、「そもそも体のサイズによって、赤信号とすべき栄養成分量」は異なるという点が、すっぽり抜けている。アルコール等も同じで、ガイドラインが想定している「一般的、平均的成人」というのは実はとある個人でしかなく、全員に当てはまるものではないのだ。

ここはパーソナライズする機会がある。

 

代謝による成分影響のミスリーディングリスク

恐らく、塩分、糖分、脂肪それぞれが様々な疾病の原因になるため、各個人の代謝や健康のコンディションによって、特に注意すべき信号と、そうでないものが出てくる。信号と言うシンボルを導入することにより、全成分が平等に注意しなければならないものになっていることが、もう一つのリスクだと思う。

 

③そもそもの変更リスク

実は下記を見てもらえばわかる通り、栄養素のフォーカスは表現方法も注意すべき栄養素も変遷が激しい。それくらい未発達な分野だとも言える。

The pre-1990s label (top left), followed by four potential designs, and the one eventually approved (bottom right) (Credit: Jerold Mande/FDA/Burkey Belser/Erika Ritzer)

そもそも今表示がされていない隠れたファクターが、癌の予防因子だったりした場合、その栄養素がピックアップされるだろう。

 

 

世の中にあふれるデータの表示はたくさんあるが、その目的は何なのか、どんなリスクがあるか、将来的にその表示は変わらないものなのかなどに思いを馳せると、自分のデータプレゼンテーションの能力も向上できると思う。