facebookの急激なオワコン化とTwitterの復活を広告目線から考えてみる
facebookやってる?開いてる?
岡山の女子大生400人に聞きました!
— 山田 邦明 l conote inc. CMO📚 (@kun1aki) July 24, 2019
「SNSは何を使ってますか?」
1位 twitter 85%
2位 Instagram 80%
3位 facebook 5%
ちなみに、
「クラウドファンディングを知ってますか?」
と聞いたところ、知ってる人はいませんでした。
これを見て、結構ドン引きしたのですね。
下記のデータを見ても・・・(ちょっと古いデータも多いし、更新時期はメディアによってまちまちだが)国内ではTwitterがLINEについで若者には人気のソーシャルメディアとなっている。
【最新版】2019年6月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ
USではSnapchatとInstaがドミナントで、Twitter, Facebookは相当遅れを取っている。
今、facebookってこんなに人気ないの?とちょっと驚いた。一方で、Twitterが一時期死に体だったのにV字回復しているのもびっくりした。2017年とか株価爆死してるよね。
TWTR Stock | TWITTER Stock Price Today | Markets Insider
ちょっとフェアではないので説明しておくと、ソーシャルプラットフォームの利用人数・頻度と収益性というのは必ずしも比例しない。例えば、このころに関して言えば、Facebookに対して、Twitterは、匿名性が高く、ターゲティング広告の粒度や効果などもイマイチ、という印象で、利用人数に対して、広告媒体としてのポテンシャルは過小評価されていたように思う。
一時期は従業員の10%近くをレイオフしたTwitterだが、劇的に回復してよかったよかった。
さて、本稿では、何故TwitterがソーシャルとしてのポジションをFacebookに比べて堅持しつつ、広告収益において息を吹き返し始めているのか?を考察してみたい。
ソーシャルプラットフォームが用途別に細分化する時代
まず、この点は最初に指摘しておきたい。Instagram、Twitter等、息を吹き返したメディアというのは、すべからく「機能が少ない」ということが挙げられる。これはどんどん機能を拡張してアイデンティを失いつつあるFacebookとは対象的だ。Facebookは、メッセージングもできる、ストーリーも上げられる、日記もアップロードできる。しかしながら、それらが全部一気に同じウォールに乗ってくる。全く違う種類の情報がまぜこぜになってやってくることが衰退につながっていると思っている。そういう意味では末期のMixiも似た側面があった。
Twitterはその点、120字という限定された文字数のテキストをやり取りする場所であり、かなり限定された用途というか、プラットフォーム側でその用途を絞っている。「なんでもできる」場所は実は今のトレンドではないのだ。
友達プラットフォームのメンテナンスコスト
Facebookのもうひとつの特徴として、非匿名性(例外はもちろんあるが)とリアルとの密接なつながりがある。このリアルとのつながりが実は大きな縛りをソーシャル上のアカウントに与えることになる。ネット弁慶はもちろんのこと、普段と違う自分を演じることすら禁じられている。(実名でガンガン戦う方もいるがこれも例外だと思う)この点、Twitterは様々な人がいて、普段はバリキャリのコンサルの女の子がのほほんとした日常のうれしいことをつぶやくことが許される。そういうネットだからできる非現実感は、Instagramでも同様で、みんなInstagramには映える何か、輝く私の日常(非現実)を載せて、人生を彩るのである。Facebook、Mixiはこの点も一緒で、リアルな人物とのコミュニケーションをさらに密にすることもできるし、薄いつながりの人間とKeep in touchすることも可能にした反面、演じる楽しさを奪ってしまったと思う。
更にSnapchatのような「ログが残らないタイプ」のフロー型ソーシャルプラットフォームが若者中心に受けていることを考えると、アセット型のプラットフォームはさらに窮地に追い込まれる。これもFacebookがオワコン化する原因の一つだと考えられる。ログが残るということは、過去の自分とある程度の一貫性を持たねばならず、メンテナンスのコストがかかるのだ。
そして、日本のインテリ層が割とTwitterを使いこなしているのが興味深い。情報発信、ブランディングの仕方はここ数年で劇的に変わったと思う。さらに、NewspicksのようにRTを通して「対談」のような形のコンテンツも生まれるのだ。
ターゲティングの下火
さて、そろそろ広告の話をしようと思うが、まずFacebookの最大の強みは何だったかというと山ほどの登録及び行動から推定されたユーザーの属性データである。この1点においては、最大のライバルのGoogleでさえ話にならない精度と量を保有しているのがFacebookである。そのため、そのデータを活用した広告配信というのは、圧倒的な独自性と有効性を持っていた。Googleの性年代ターゲティングをしたところで、本当にそれが該当セグメントに当たっているかはわからないのだ。もっと言えば、同じPCを共有していたりすれば、原理的にはログインしなおさないとGoogleはうまくターゲティングできない。その点Facebookはログインを既にしている状態で広告に接するわけで、基本的にターゲティング性能は100パーセントに近かったと思う。
一方でTwitterは個人の性年代を推定することは可能だが、それを100%合ってますと証明することは出来ないし、ユーザーを見たら、なんか2chのハンドルネームみたいな名前多いし、と、アカウントの向こう側にいるユーザーの顔が見えにくいプラットフォームだと思う。そういう意味でソーシャルの武器であるターゲティング広告がそこまで売れないのがTwitterだった。
しかしながら世の中の流れは逆転する。世の中全体が個人情報に対してどんどんセンシティブになっていること、それを受けてGDPRのようなレギュレーションが施行されるようになったこと、更にCambridge Analyticaのようにその精細なターゲティングデータを悪用する企業が出てきたことだ。勿論、今もターゲティング広告なしにネット広告は成立しないが、出来るだけ個人情報、精緻すぎるターゲティングに頼らない方法で広告を打とうというモチベーションは年々高まっているように感じる。
リアルタイムメディアであることの機会
数多くのテレビ番組がTwitterを通して視聴者とインタラクションを取っている。逆もしかりで、リアルタイムであることによって他メディアとコラボレーションしやすいという特徴がTwitterにはある。ここらへんはTwitterも理解していて、広告商品もある。
個人的にはTweetに基づいた微妙なターゲティングよりも、リアルタイム性を生かしたスポーツコンテンツとのコラボレーション等のほうがよっぽど機会と独自性があると思っている。
Facebook自身の孤島化
最後にFacebook、Googleの二大巨人は現在個人情報の漏洩及びそれをEUから刺されることに対して、恐怖症のように過敏に反応している。FacebookはIFTT等第三者外部プラットフォームからコントロールできる投稿を一切カットした。これにより、Facebook はある意味、他SNSに対して孤島と化した(Instagramを除く)と思う。
人間、大して友達に大っぴらにつぶやきたいことやシェアしたいことなんて、なかなかないわけで、匿名性のある中でくだらないことを言ってみたり、たまに写真をあげたり、逆にクローズドにやりとりする以外のコミュニケーションってなんなのだろうか?
まだ多機能のFacebookが色々なところへの投稿を集約できるようなプラットフォームだったら生き残る道もあったと思うが、もうこのオワコン化、過疎化はこのままの流れでは止まらないと思う。