足ることを知らず

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日商簿記2級に3週間で受かる方法

このblogでは珍しい部類のエントリですが。
今後の自分の資格取得のためにもコツをいくつか記述しておこうと思います。


今回はちょっと挑戦的な「三週間」の設定にしてあります。
基本的な条件は以下の通り

  • 一日4時間程度の勉強時間を取れる(一日あたりの時間を減らして日数を増やしても可)
  • 事前知識はほぼなくて良い(貸借の概念位は理解しておいて欲しい)
  • 数字嫌いでもOK


日商簿記二級の価値については、各商工会のサイトでも見て頂くとして、今回は2級に合格することを目的に進めていきます。私は1ヵ月(4週間1日2時間+α)で二級を取得しました。点数は96点でした。ちなみに三級は受けていません。試験料金がもったいないなぁと思ったのと、どのみち二級は取ろうと思っていたので。テキストは購入しました。


前準備
まず、通常2ヵ月程度の準備が必要な資格を3週間で取得しようというのだから、相当の「ショートカット」が必要なのです。では、このショートカットのポイントは何なのでしょうか。

それは『短縮』『最適化』『忍耐』です。

『短縮』は「やらないことを決める」ことです。

教科書をすべてやろうとしたら、絶対に2ヵ月かかります。なので、そもそもカリキュラム自体を短縮する必要があるのです。テキストには必ず「無駄」があります。何故なら、出題する可能性が低い、実際には解答に必要ない知識でも出題範囲に載っている以上、万が一出題された時に教科書としての不完全さを追及されてしまうからです。日商簿記は100点を取らなければ合格出来ないテストではありません。7割取れば合格なのです。テキストの無駄を省くために、「試験」を知らねばなりません。ほとんどの人が試験をいきなり見ても意味がわからないために、テキストをコツコツと進めます。これが効率を著しく落としているのです。日商簿記のテストで必要な知識はそんなに多くありません。まずは試験内容を把握することが大切なのです。


次に『最適化』は「カリキュラムを最適な方法で消化する」ことです。

受験時代によく言われたことに、「夜は文系科目、昼は理系科目をやりましょう」という一言がありました。即ち、理系科目をやると脳が活性化し過ぎて眠れなくなる。逆に文系科目は「本を読む」ことに近いため、睡眠へスムーズに移行できるということです。私の場合、実は全くの逆だったのですがこの話で一理あるのは「生活に上手くカリキュラムを組みこむ」ことが大切だということです。例えば、筆記用具が使えず、音もうるさい電車の中では既に覚えた勘定科目の確認を行う、一番集中出来る(僕はトイレでした。)では理解できなかった部分を復習し、徹底的に覚える。といった日常生活における勉強時間の最適化・日常生活への組み込みが大切なのです。長く行うなら、習慣化と呼びますし、短期間なら一夜漬けになるのですが。



最後に『忍耐』とは「カリキュラムを絶対守ること。もし、守れなくてもあきらめないこと」。
当たり前だろう、アホかと思う方々もおられるかもしれませんがこれは基礎中の基礎。これだけプロセスを短縮化するのであれば、兎に角心も体も忍耐が必要です。これは継続力とは異なります。長く続けるのではなくどんなにキツくてもスケジュールに遅れを出さないいうことです。実はこれは一つ目の「やらないことを決める」ことにもつながるのです。最後の最後、間に合わないギリギリの時に「間に合わない。もう無理だ。あきらめよう」と思ったり、「ここは捨てよう」と思うのは間違いなく不合格への第一歩なのです。明確な理由なしに時間がないというだけで「やらないことを決める」のはその範囲を「あきらめる」ことに等しいからです。その範囲に苦手意識を持つだけでなく、大丈夫かなという不安も心に抱えてしまうことになります。大切なのは「自信・明確な理由を持って」+「やらないことを決める」ことなのです。そのためには、まず諦める状況を作らないように計画を絶対に守ること。もし、何かを捨てざるをえない状況になったら「やらない」意志決定に対して明確な理由を持つこと。これは試験だけでなく、仕事にも共通することではないでしょうか。では具体的な勉強法を考えてみましょう。




試験を知る
では実際の試験の内容を見てみましょう。日商簿記は全部で大問5つに分かれています。最初の3問が商業簿記、最後の2問が工業簿記です。ここで一つだけ伝えたいのは「勘定科目の暗記」が必要な問題は極めて少ないということです。勘定科目の名前をそらで答えてくださいといった問題はほとんど出ません。

まず、第一問又、第四問とは「取引はどの様に勘定科目で表わされるか」という選択問題(選択肢は全て与えられます。)「勘定科目Aに対応する勘定科目Bはどれか」という対応問題を組み合わせて問くと思ってください。

これはテキストを一通り学習して苦手な取引・理解していない勘定科目の性質を理解すること(私は特殊売買取引が大嫌いでした。)がポイントになります。

第二問、第三問、第五問は上記で学んだ知識を元に実際の精算表・バランスシート等に記入します。

こちらは第一問、第四問の基礎が出来た上で行うものです。「何をどこにいくら穴埋めすればいいのか」ということを延々聞かれると思ってください。そして、こちらに関しては「テキストを使う必要は一切ありません」。実際の問題、過去問を兎に角解きまくりましょう。みるみるうちに点数が伸びていきます。

よって前者は記憶系、後者はシステム系の問題といえると思います。

テキストを知る
テキストは商業と工業に分かれています。商業は記憶系の内容が多く、工業はシステム系の問題が多いと思います。第四問も時々システム系の問題になります。記憶系を抑えないと、システム系の問題をやってもちんぷんかんぷんなので、まずは記憶系の話を進めます。そのあと、システム系の問題をガンガン解いていきましょう。


実際の勉強法は?
ではまず『短縮』のフェーズですが、テキストにあるシステム系の話は全て捨てましょう。問題集や過去問を解きながら、解答を見てもわからないところがあった場合にのみ参照する辞書の様な扱いがベストです。

テキスト最初の一周目は「覚える」ことを捨てることです。むしろ最初はテキストを一周するつもりで適当に読み進めて頂いて構いません。その時に借方、貸方だけは意識して、あとは取引をイメージしながら勘定科目をチラ見していってください。これならかなりのペースでテキストを消化できるはずです。イメージが最初は大事です。実際に取引している姿を思い浮かべるくらい頭を使えば、意外と人間の脳は優秀なので、知らず知らずのうちに頭に入っているのです。逆に馴染みのないことを覚えるほど苦しいことはありません。

次の一周で「苦手なところ」を意識してください。確認方法は紙で隠したり、見えなくなるマーカーでも構いません。これはわからない・絶対覚えていないと思うところをマークする。ぱっと見で見たことのない勘定科目なら即チェック、重点的に学習する項目としてテキストを追ってしまいしょう。見たことがあるけど、使い方がわからなければチェック。出来ればポストイットを貼るといいと思います。これでテキストのほとんどがポストイットになると思いますが、構いません。
次の一周で覚えた矢先からはがしましょう。ただし、はがしたポストイットは表紙裏に貼っておきましょう。


このサイクルが大切なのは「わからないところをわかること」にあります。これは即ち、「わかるところは短縮出来る」ということと同じですから。ポストイット等でチェックをすることはこういう意味があります。ノートでバリバリやるのもアリだと思いますが、奈何せん時間がないので、これも短縮化してテープを一枚貼るという方向にしました。

次の一周でさっと読み流した時にわからないところにもう一回ポストイットを貼りましょう。人間の頭は忘れるようにできているので、反復練習が大切です。これを繰り返していくと、表紙についているポストイットが多くなってくるはずです。実は勉強のモチベーションを上げる一つのコツに「成長の可視化」があります。どんどん表紙のポストイットが増えてくれば成長を実感できるはずです。ページについたポストイットが20枚以下になったら、過去問を解いていきましょう。これを出来れば一週間で出来るとベスト。14日がデッドラインです。ということは最初のテキスト一周は3〜4日で済ませなければならないので、一日に40〜30ページ位消化。流し読みで構わないのであれば、不可能ではないと思います。次からは空いている時間に兎に角反復練習を上記の方法で繰り返しましょう。

これが終われば、システムの勉強です。残りは1週間以上あると思います。システム系に変なテクニックは存在しません。過去問を兎に角やる。方法論を覚えるのには実践が一番です。最初は全く解けずに解答を見ることになると思います。でも実は問題集や過去問の解答欄は極めてシンプルで余計なことが書いていないのでシステムの勉強には最高にお勧めなのです。特に過去問の一回目の解答にはそこそこ詳細な方法論、テクニック等書いてありますので、良いクセをつけるためにも、最初に解くのは過去問にしましょう。問題を解く時に図を使うテクニックも過去問から学べますが、これも合格を左右する重要なテクニックです。その際に回答用紙はコピーしておくこと。覚えていなければ、繰り返し同じ問題をやって構いません。むしろ、解けないところと解けるところがわかる分、これを重点的に復習すべきです。同じところを間違えたら、問題用紙にこれでもかと言わんばかりに憎しみをこめて鉛筆でチェックしてやりましょう。もう、そこは間違えることがないはずです。これを試験直前まで、上のサイクルと併用してやりましょう。まとまった時間がかかるので少しめんどくさいと感じて、『忍耐』に支障が出るのがこの時期です。ただ、システム系の問題は少しテクニックを覚えると消化試合になるので、頭を使わなくてもよくなります。やり出したら意外と楽ですし、速く終わると思います。

試験前日に余裕があれば、実際の試験感覚を得るために本番通り第1問〜第5問まで通してみるといいと思います。出来ればやったことのない問題がいいと思うので、過去問は一回分残しておきましょう。

勉強と生活の最適化
さて、次はこのサイクルを定着化させる方法です。まず、サイクルの定着化にポイントとなるのは「空き時間」「机の有無」です。先ほど述べた暗記系は空き時間、机が無くても可能ですが、システム系の問題は軽い確認以外、絶対に机とまとまった時間が必要です。即ち、電車の中やトイレなどは暗記系、昼休み、帰宅後等はシステム系がいいでしょう。


個人的な馬鹿発想ですが、お酒を飲んだら、暗記系はやめておいた方がいいです。忘れます。暗記系は頭で覚えるもので、システム系は手で覚えるものだと僕は思っています。
だから、消化試合化したシステム系は意外といけます。お酒を飲んだ後でも家には帰れますよね?それと同じです。



私のケース
では具体的に私の使ったテキストや道具を紹介して結びにしたいと思います。


テキスト

イメージがしやすくて楽でした。文字が大きくて漫画ばかり読んでいる僕には最適でした。ただ、持ち運び等に向いている本ではないと思います。

過去問

テクニック的なところが大切です。本番前のために一問だけ残して、後はシステム系をやりつくしましょう。最初の方はすぐに解答を見ても構いません。ただ、解きながら解法のパターンを感じることが大切だと思います。
解答用紙のコピーは必須です。

本番での時間配分

本番は2時間で5問ですが、均等に分けることはしないで下さい。
1問が15分〜20分、2問が20〜25分、3問が25分〜30分、4問が10分〜20分、5問が10分〜25分です。余った時間で見直しをしましょう。工業簿記の方が時間はかかりません。
僕は終了40分前位に終わったと思います。

あと、システム系の問題でケツの数字(BSの総額とか)が合わない場合、焦ると思うのですが、必ずそこで処理しておきましょう。時間がないから次の問題というのはよっぽど追い詰められた時にしてください。というのも、次の問題を解いてから戻ってきても何のことだかよくわからないことが多いのです。また、前の問題が気になってしまって、次の問題に集中出来ない可能性もあります。
ただ何分考えても答えが出ない場合、問題用紙に怪しい箇所等を記入してから次の問題へ進みましょう。

最後に
実はここまで書いて思ったのは試験はプロジェクトの縮図であること。
だから、世間でいうLifehackみたいなことはほとんど短縮と最適化であるということです。
試験だけでなく仕事にも役立ちます。

もしかすると、試験前(1月下旬)にシステム系の問題にフォーカスしてエントリを書くかもしれません。

それでは皆さま、勉強を楽しみましょう。