足ることを知らず

Data Science, global business, management and MBA

ニコニコ動画はもうほとんどボカロ動画といっても過言じゃない件

ランキングの常連、ボカロ動画

ニコニコ動画において、もうボーカロイドの存在は無視できない。どころか、ボーカロイドがニコニコのメインコンテンツとなっている。これまでの累計再生数のトップ3は以下の通りである。


これだけを見れば、ボーカロイドの影響はそこまで強くないように思える。


しかし、これまでの累計マイリスト数のトップ3を見てみよう。

3動画ともボカロ動画である。しかもマイリスト数のトップ10のうち、6つがボカロ動画なのだ。
再生数のランキングだって、トップ10に2つがランクインしている。何故ここまで、ボカロ動画が強いのだろうか。


再生数、コメント数、マイリスト数の本質を探る
ここで、再生数、コメント数、マイリスト数が動画に対し、どの様なフィードバックを行っているのかについて述べたい。言わずもがな、この3つのパラメーターは1つのカウントが意味するものが違うことは勿論、その重みも異なる。

再生数・・・動画の人気を測るにはこの数値を除くことが出来ない。何故なら、コメントにしても、マイリストにしても、『まずは』再生を経て行われるためである。
しかしながら、そのフィードバックの妥当性に関しては疑問がある。再生数はF5を押すことで「一人がいくらでもカウント」出来る。(※現在はカウントできないようです。)更には、釣り動画に代表される様に、「動画を楽しんでいるわけではない」にも関わらず、伸びてしまう。全ての評価指標の礎となる再生数だが、必ずしもコンテンツとしての強さを裏付けるものではない。

コメント数・・・僕はこの数値は「動画の盛り上がり」を示すものだと思う。勿論、ニコニコにおける重要な機能が「コメント」ではあるのだが、この数値は極めて定性的なものだと感じている。コメントは再生やマイリストと異なり、「表現」なのだ。コメントは量的な要素よりも質的要素の重要性が強いと思う。
例えば、「祭」「荒らし」という現象がある。双方、コメント数を大きく伸ばすコア的要素を担っている。だが、この二つの現象が意味する「感情」は正反対だ。皆で協調し、楽しもうという「祭」に対し、対局の相手を論破若しくは非難することが目的である「荒らし」は定量的には同じ現象だが、全く異なる現象なのである。更にコメント数がかなり複雑な指標であるという特殊な例を出すとすると、コメント職人の存在がある。僕は彼らのいる動画が大好きなのだが、コメントは絶対しない。「流れてしまう」からだ。
再生数と同じ様に、一人が何度もカウント出来るにも関わらず、「カウントしなくても」動画を楽しむことが出来るという点が決定的にコメント数の定量的価値を消している。


マイリスト数・・・実はこの数値だけは有料会員と無料会員で意味するものが全く異なる。有料会員はマイリスト枠を12500件持っている。これは無料会員の100件に比べ、ほぼ無制限に近い数だ。となると、有料会員のマイリストというのははてブ」の様に「ちょっと気になったらすぐ登録」というものになる。対して無料会員のマイリスト枠はすぐ埋まってしまう。「入れ替え」も頻繁だ。どの様なものが入れ替えられるかといえば、「見ない動画」「旬を過ぎた動画」になる。逆に言えば、無料会員にとってのマイリス動画は「近いうちに再生する」「頻繁に見る」「コメント合戦をしている」等、将来的な再生数やコメント数の礎になりうる。無料会員にとってのマイリスは将来再生数やコメント数のポテンシャルのようなものなのだ。
即ち、無料会員にとってのマイリスト数はかなり信憑性の高い「フィードバック」になるし、有料会員に関してはもう少し軽い指標になる。副アカウントを取ってうんぬんという話もあるが、mixi等のSNSと異なり、それをやっている人間は少ないと考えられる。インセンティブとして考えられるのが「マイリストを増やす」「同じ動画のマイリストを増やしたい」といったことなのだが、前者に関してはメールアドレス取得等の手間を考えれば有料会員になればいいのだし、後者では数のメリットが少なすぎる。いずれにしても無料会員のマイリストというのはコンテンツの強さを示す指標として最も有力ではないかということだ。

現在、ニコニコ動画の会員数は約1410万人で、そのうち50万人が有料会員なので、約3.5%程度が全会員数に占める有料会員となる。となると、まだまだニコニコは無料会員がほとんどを占めていることになる。(※ただしアクティブユーザー等考えれば、全く異なる話になる。)


マイリスト数を荒稼ぎするボカロ動画
で、先ほども述べた様に、マイリスト数において最も強いのが「ボカロ」のジャンルなのである。


上を見ればわかるが、再生数、コメント数で全く歯がたっていない「Just Be Friends」が再生数のトップランカーにマイリスト数で十分に健闘している。

マイリスト率(マイリスト/再生)が異常に高いのだ。
参考までに「みくみくにしてあげる♪」のマイリスト率は2.17%、ドナルドが1.00%、陰陽師が1.09%、Just be friendsが6.27%である。

ボカロ動画のマイリスト率は大体2〜6%近くをマークする。他ジャンルの動画でここまで高いマイリスト率を誇るものはない。

これらの事実から、コンテンツとして、ニコニコ動画が「音楽」に大きく偏り始め、中でもボーカロイド関連動画が強い力を持ち始めたという仮説はあながち悪くない。勿論、著作権等の問題があり、ニコニココンテンツがかなり削除されているということもあるだろう。ボカロはほとんど削除されないからね。ボカロ勢力を上回るコンテンツが今後現れるのか楽しみ。

おまけ・ボカロ動画同士の比較

VOCALOID殿堂入り」タグの再生数TOP8の再生数、コメント数、マイリス数、コメント率、マイリス率をグラフ化してみた。

巡音ルカの動画はマイリス率が高く、コメント率が低い。これには「プロデューサーのセミプロ化」が挙げられるかもしれない。結構完成度の高い曲・PVになってきたから、コメントの盛り上がりで肉付けする必要がなくなった気がします。