足ることを知らず

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Googleに喧嘩を売ったThe Trade Desk。

adexchanger.com

 

Trade deskがIAB(米国のインターネット広告の基準などを定める組織)とともに、Sellers.jsonという規格を広めようとしているらしい。これが、割とGoogle様の反感を買っているようで、その背景にはいくつかの要因があるのだが、表向きには「技術的にまだ要検証である」というポジショニングらしい。

 

広告主のフラウド問題を経て

www.adweek.com

世界最大の広告主、P&Gが200億円あまりのデジタル予算をカット(増やしたのではない、カットだ。)したのは去年のこと。デジタル広告においては、今までテレビ広告では当たり前とされていた、「露出」や「リーチ」の定義があまりにも曖昧で、マーケターとプラットフォーマーの間の認識の齟齬があまりに大きいことが証明された。

例えば・・・でお話をしよう。

・露出の広告主定義:ユーザーが広告を見たことを1回とする

・露出のプラットフォーマー定義:広告のシグナルがウェブサイトに送られ、サーバーに返信がきたことを1回とする

一見、何が違うの?言葉尻を変えただけでは?と思うかもしれない。

しかしながら、あなたがあるサイトを訪れたとき、あなたのブラウザはすべての広告をロードしている。Googleが2012年に発表した統計によれば、ロードされた広告のうち、半分しかユーザーのディスプレイに表示されていないのである。

更に加えるならば、シグナルを操作しているのは、人間だけではない。多くのクローラーBotと呼ばれるプログラムたちが広告シグナルを作り出している。それが、このデジタル広告におけるバナー広告ビジネスの正体なのである。

 

広告の質とは?

さて、広告主の英断に戸惑ったデジタル広告プラットフォーマーたちは一気に広告の質を担保しようと奔走する。その取組のうちのひとつにAds.txtというフォーマットがある。

About ads.txt - IAB Tech Lab

これは、各ウェブサイトがどのようなパートナーと組んで広告ビジネスを行っているかを明示するための仕組みである。各ウェブサイトは自分たちがどのようなプラットフォーマーと取引をしているか明示しなければならない。

この仕組みをInitiateしたのが、Googleであり、著名なインターネット広告媒体はだいたい、このAds.txt準拠を完了している。

しかしながら、非常にマニュアル性の強い作業で、Ads.txt自体には多くの課題が山積みになっている。(Ads.txt自体のFakeも可能であるし、未だに山ほどの間違った入力が見受けられる)

更に、現状アプリ在庫に対する対応は殆ど進んでいない。(app-ads.txtのシェアはまだまだ進んでいない)

新規格VS旧規格

少し面白いターニングポイントになりそうだなと思っているのは、Googleはこれまでより良い規格に対しては、おおむねポジティブだったはずなのに、今回のポジションを取っていることだ。これは、既にMatureで大多数のシェアを取っているAds.txtの代替品を導入したくないというシンプルな経営判断だと思う。