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Last of us Part 2を終えて

Last of us Part2をGMATを終えた月曜日のあと、仕事終わりから深夜まで毎日8時間かけて、計5日でクリアした。控えめに言って、僕はこのゲームが大好きだし、マーケティング領域に働く人間としてたくさんの示唆があったので、ここに備忘録として残したい。

 

できるだけネタバレを避けようと思っているので、これからプレイする人も安心して読んでほしい。

 

 

Last of usというゲーム

人生で一番好きなゲームは?と言われたら、ドラクエ5をあげるだろうが、人生で一番完成度が高かったゲームは?と言われたらLast of usをあげるだろう。あれは、ゲームではなく、映画に近い。が、ゲームシステムとしてもサバイバルホラーの世界観を見事に反映していて、グラフィック、ゲームシステム、世界観、ストーリーのすべてがうまくfusionしている稀有な例と言える。

 

 

ゲームの評価項目に関しては、下記の大東京トイボックスが素晴らしい。今までも何度か、ゲームの作り手についてブログで話したことはあるが、この漫画はそこらへんの「ゲームで面白さをどうデザインするか」について素晴らしい考察が出来る。

amzn.to

 

ラスアス自体が発売されたのは5-6年前で、僕は社会人3年目くらいだった。エリーとジョエルという疑似親子の絆を育む物語をサバイバルホラーの世界観で眺めていく。そんな映画のようなゲームだった。

 

Last of us Part2の2つの特異性

Last of usは2つの点で特殊なゲームとなっている。

1つ目はユーザーレビューが見事に二分化していること。

The Last of Us Part II for PlayStation 4 Reviews - Metacritic

 

ご覧の通り、専門家は100点中90点台をつけているが、ユーザは10点満点中平均4点台。しかしながら、その大多数が、中間の点数ではなく、低点数か高点数をつけている。実にvolatileな点数分布になっているのだ。

 

もう一点は、実況プレイに求められる質である。

通常、実況プレイはリアクションが大事だったりする。集客を念頭に置いて、どんなゲームが受けるのか、じっくり見てみると面白いことがわかる。宮迫さんのYouTubeを見ていると、バイオ7は一日置きの目玉シリーズになっているのに対し、宮迫さん自身が冒頭で登場する龍が如くは一回で配信が終了している。恐らく再生数が取れていないからだろう。

 

実況プレイで、芸人が一番数字が取りやすいのはリアクション芸が激しいものだ。ゲームセンターCXの有野はゲームへのウィットなリアクションで前人未到のゲーム実況の基盤を築いた。

 

一方でラスアス2はゲーム実況泣かせのゲームと言える。何故ならネタバレと戦いながら、さながら映画批評家のような高度な文章能力とコンテクスト理解がこのゲームを楽しむには不可欠だからだ。リアクション芸でPVを稼ぐには、このゲームは長すぎる。

 

ユーザーレビュー二分化の理由

レビューが二分化している理由は3つある。

  • 前作の偉大さと期待値
  • ポリコレ要素がふんだんに散りばめられていること
  • ストーリーの複雑性

まず、前作の完成度が今回のゲームに対しての期待度を不当に高めていたことは否定できない。更に斬新なゲームシステムを期待していた人にとっては、Part2はステルス要素が多少向上していただけだった。一方で、私としては、ゲームシステムの抜本的な変更は期待していなかったし、ステルス要素の向上でより戦略的なゲームになったので、それで充分というところがある。

 

ポリコレ要素は非常にcontroversialになっている。本ゲームではLGBTが物語の根幹にあったり、意図的に多様な人種が、ストーリーに絡んでいる。今、コンソールやPCゲームをやる層は実はコンサバなおっさんだったりするので、この要素に辟易する人は多いだろう。しかしながら、ただでさえ、残酷な表現でいろんな批評を喰らいかねないこのジャンルにおいて、ラスアス2はうまくその他の批判を回避しているなぁとマーケティングをやっていた人間としては考える。それらの問題に真正面からアプローチしているわけではないので、非常に取って付けたようなものになっているが、本当にこのゲームで伝えたい主題は違うものなので、別に真正面からぶつからなくてもいい、ちゃんとあらゆる方面を向いていることをテストの解答用紙に示しておきたいということなのだろう。

 

さぁ、肝心のストーリーはありえないほど複雑だ。ネタバレを防ぐために言っておくが、勧善懲悪のシンプルなストーリーはPart1でもありえなかったように、Part2では更にそれに疑問を投げかけたものになる。Last of usというゲームは極限状況での意思決定に対して、良し悪しなどナンセンスでは?という結構本質的なテーマを負っていることもあって、読み手・受け手にそれなりのインテリジェンスを求めると思う。それを鑑みたとしても、僕ははっきりしないこのゲームの主題が大好きだ。人生とはそういうものである気もするし、SFながら、とても現実的な主題を追求していると思う。

 

ゲーム実況の対象として

上記のような条件があるので、ゲーム実況としてはとてもむずかしいゲームになろう。Part1のほうが、実況者は消化しやすいと思う。

 

そもそもゲーム実況受けしやすいゲームを考えると、書評+リアクション+やり直しの面白さとなる。

  • リアクションのしやすさ
  • 本人の思い入れ・感想の深さ
  • GAME OVER 

すなわち、インパクトの有る映像かどうか、ゲームのストーリーを映画批評のようにプレーヤーと一緒に辿れるか、ゲームオーバーからのやり直しが面白いかどうかという点に尽きる。ラスアス2は最初の点はクリアしているが、2,3点目はなかなか評価が難しいところだろう。

 

総括するが、ラスアス2、是非ラスアス1をやってからプレイしてほしい。ラスアス3が出るかはわからないが、素晴らしいゲームを送り出してくれたnaughty dogの皆さんに拍手を送りたい。