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3ヶ月の自習でGMAT530から700までスコアを伸ばす方法

GMATの学習を終える。3ヶ月に渡る長い戦いだった。

そのログをざっくり説明すると、下記のとおりである。

2020/03/28  GMAT Prep    V 16, Q 48, IR 8 Total: 530

2020/06/15  GMAT Online V 25, Q 51, IR 7 Total: 650

2020/06/22  GMAT 本番  V 34, Q 50, IR 7 Total: 700

 

6/15の前週には、Prepを公式非公式含め、ほぼ毎日実施し、2時間が短く思えるほどの、バッキバキの対GMAT戦闘兵器になっていた僕が、GMAT Onlineのスコアを見て愕然としたのは言うまでもない。恐らく一番大きな原因はVとQの順番を選べなかったことだと思う。

すぐにテストセンターの空きを確認し、1週間後の22日にロンドン市内でリアルGMATを受けた。(OnlineとリアルGMATは別カウントで15日空ける必要もなし)

そこで、一旦700は取れたので、GMATの学習を終えることにしたが、兎にも角にも壮絶な戦いだった。個人的にテストは嫌いではないが、これほどまでに「テスト後の感触」とテストスコアが比例しないテストは存在しないと思う。また、その感触の良さがスコアで裏切られるからこそ、GMATは数々の受験者の心をポキポキ折り、帝国ホテルに項垂れる死体を量産してきたのではないだろうか。

 

これから紹介する方法は、GMATで打ちひしがれている人に、高い点数ではなく恐縮だが、スコア700までの道のりを紹介する。私は予備校の類は一切行ってないし、高額なオンラインプログラムにも申し込んでいない。割と地道に教科書や問題集と向き合い、コツコツと勉強した。駐在や海外勤務などで私と同じような環境の人は多いと思うので、是非孤独なGMATとの戦いを楽しんでほしい。

 

GMAT前のスペック

GMATを受ける前について、かんたんに自分のバックグラウンドを紹介しておく。

東京大学の理系から理系院に進んだ。その後は日系の広告代理店で働いていた。入社時TOEICは600くらいで、純ドメと言って差し支えない。2013年頃から少しずつ英語を学習して、2015年にTOIECは900点台になった。英語スコアとは全く別の文脈で良い機会を頂き、2016年夏からイギリスの広告代理店でデータサイエンティストとして働いている。2019年頃からMBAを意識し始めて、IELTSはぼちぼち受けていた。IELTSのスコアは2019年終わりでR 8.5, L 8.0, W 6.5, S 6.5のOverall 7.5という感じ。

 

まとめると下記のようなバックグラウンド。

・理系なのでQuant苦手意識はない

・IELTSクラスのReadingであれば問題なく読める/答えられる

 

なので、上記のバイアスを踏まえて下記を読んでほしい。

 

おすすめの対策まとめ

まず、ステップゼロとしてGMATとはなんのテストなのかを色んなブログやソースを見て理解しておこう。

schoolwith.me

【英語(Verbal)】

英語の語彙力や文法力、読解力などを問われます。必要なスキルの目安は、TOEFL iBTスコアの90点です。

問題数:36問
配点:6〜51
解答時間:65分

【数学(Math)】

中学から高校1年生レベルの問題が出されます。

出題分野は以下の通りです。

・順列・組み合わせ
・確率統計(標準偏差
・ 不等式
・二次関数
・指数関数(対数関数は出ない)
・整数問題
・文章題問題

問題数:31問
配点:6〜51
解答時間:62分

【ライティング(Analytical Writing)】

1つの論文に対して客観的な視点を持ちながら、自身の意見をエッセイで伝えます。批評が必要なため、論文のメリットとデメリットを理解することが欠かせません。

問題数:1問
配点:0〜6
解答時間:30分

【総合分析能力(Integrated Reasoning)】

グラフや表、長文などから必要なことを読み取り、設問に答えます。情報を的確に読み取り、正誤を照らし合わせる力が求められます。

問題数:12問
配点:1〜8
解答時間:30分

問題数は合計80問。スコアは満点で800点、最も低くて200点です。

 

① V,Qの解き方を学ぶ(2weeks - 1 month)

最初の2週間-1ヶ月は総論的なテキストを中心に基礎を磨き、一切OGやPrepには手をつけない。おすすめテキストは下記の通り。

 

CRは下記が良かった。とにかく丁寧に説明している。一点微妙だったのは設問の種別を先に読むかどうかで、この本は読むなとアドバイスしているが、読んだほうが確実にスピードは上がると思う。

amzn.to

 

SCは新井塾のテキストとManhattanで基礎をビルドアップした。

amzn.to

amzn.to

 

QuantはマスアカとManhattanの高地トレーニングを行った。

インターナショナルマスアカデミー

amzn.to

 

残念ながらRCだけはこれというテキストがないが、下記のKaplanPrepのRCを読めば充分だと思う。これはPrepがついてくるので、基本的におすすめ。

amzn.to 

OGと全部足したら、20000円くらいになってしまうかもしれないが、塾代に比べれば安いものだし、私はUKにいたので、正直もっと安い価格で上記が買えていた。OGと全部合わせても合計12000円くらい。価格の違いが知りたい人はUSやUKのアマゾンを見てみるといいと思う。

② 問題演習とエラー記録

次の1ヶ月くらいは、OGの問題を8-10問ずつ、セクション毎に問いてみる。これは全部PC上でやろう。OGは付属しているコードを登録すれば、オンライン上で問題を解くことができる。一日あたりもっと問題数をこなしてもいいが、多分振り返りを含めると消化できない。解く際の時間はいくらかかってもいいので、何故選択肢を消したのか等も全部ログに残すこと。間違えた問題は下記のようなフォーマットで徹底的に分析をする。OGの解説は雑なことも多いので、DeepLで意味がわからなかったら、GMAT Clubの解説を読むことも重要。

www.evernote.com

 

このログを1週間つけたら、正解率を上げるためにどこに戻ればいいかがわかってくる。①に戻る必要がある人も多いと思うし、単語の意味が問題なのであれば、ボキャブラリー強化を並列で行う必要がある。私は圧倒的にボキャ貧だったので、初期の課題はそこだった。

 

 中山先生のGMATボキャ本は良かった。特に巻末の単語集は役に立ったが、結局ジャンルごとに更に深堀りした単語が必要なときもあるので、自分でもまとめたノートを取っていた。

amzn.to

※Quantは私は苦労しなかったので、難しい問題ばかりを一日10問くらい問いていた。最高難易度の問題でも、時間オーバー及び間違えるのが2問/10問という感じだったので、全く苦労していないが、間違えた問題はログに残すことは怠らなかった。

 

※上記の学習に関してだが、CRは特殊。RC、SCは2週目突入ありだが、CRは答えを覚えてしまうと、完全に意味がなくなるので、新しい問題を探してくるなどの努力が必要。それも含めて一日あたりの消化問題数はCRを意図的に少なく設定していた。※KaplanやManhattanの問題は、やはり少し質が違うと感じることが多いので、試験日が近づいたら、解かないほうがいい。(非ネイティブだからこそ、言い回しや単語に引っ張られないので、特にCRでは正解になりやすい解答が違うなと感じることが多かった。)

 

③ スピード演習

時間をかけて解いた正解率が8割を超えてきたら、時間を図って解く。その際は、本番と同様のメモを取ることを心がける。目安はSC1分半、CR2分、RCパッセージ3-4分+一問1分半。それ以上かかったら、どこで時間を消化しすぎたのか、ショートカットは出来ないのか考える。

 

④ Prepによる実力判定

プロセス③の正解率が安定してきたら、Prepを定期的に受けることをおすすめする。Prepの答え合わせはしないことが重要。700がまぐれでもいいから出たら、本番を受けることをおすすめする。

GMACのPrepは貴重(試験に一番問題が近い)ので、腕試し用には下記のKaplan Prepをおすすめする。

amzn.to

 

⑤ AWAとIR

本番にあたって、AWAとIRの対策も、と考えると思うが、IRはPrepとOGに載っているもので充分だし、私は業務で近いようなことをやっているので、IRは苦労しなかった。すなわち、④でスコアが出るまでは、ここの2つは特に気にしなくていい。Prepでもガンガン飛ばして良いと思う。

本番に関しても、AWAはテンプレをはめるだけでいい。下記のブログを参考に30分3日くらい練習した。

【GMAT】AWA満点とるコツと回答例を公開【テンプレートにもなるよ】 | mameoisiiyo.com

 

⑥ 本番前一週間の追い込み  

試験1週間前はとにかくPrepを解きまくる。本番同様の環境にすることも重要だし、自分にとって何より重要なのはVとQの順番だった。Qを先にするのが人気らしいが、私はQは集中力が切れていても時間内に解ける自信があったのでVを先にしたほうがスコアは30くらい高くなることに気づいた。このようなテスト中の小手先の自分ならではのTipsを発見するためにも、新しいメモのとり方などいろんなことを試してみるのが吉だと思う。

よく、実力が伴っていないから、点数が取れないという話を聞くが、GMATは小手先で点数がエグいくらい変動するテストだ。小手先のテクニックをピカピカに磨いておくことが高得点への道だと感じている。

 

小手先テクは山程あって、目標スコアによるのだが、僕のように700取れれば良いわーという人間は、目指すべきVerbalの点数が35くらいになってくるので、RCのスキップやParagraphの最初のセンテンスと最後のセンテンスだけ読むというテクを使うことも可能。40目指すならちょっとリスキーなので控えたほうがいいかもしれない。

また、時間配分だが、やっぱり前半15問の重要性はその後の15問の比ではないので、下記のようなタイムマネジメントをしていた。

6問で残り50分、10問で残り40分、15問で残り30分。

ただし、OGの振り返りをすればわかるが、正答率の高い問題ほど、短い時間で答えにたどり着いているため、そもそも時間がかかる事自体が、問題を読み解けていない証拠であり、やばい傾向にある。時間があれば解けた問題と、いくら時間があっても解けない問題を自分なりに見極める術も整理しておいたほうがいい。

 

私のPrepの履歴は下記のとおりである。

 初回のPrepから約3ヶ月で700に到達したことになる。

GMAT Prep 1回目 2020/03/28 V16, Q48, Total:530
GMAT Prep 2回目 2020/04/21 V22, Q49, Total:590
Kaplan GMAT -1 2020/04/22 V27, Q48, Total:620
GMAT Prep 3回目 2020/05/03 V21, Q50, Total:600
GMAT Prep 4回目 2020/05/10 V23, Q50, Total:630
Kaplan GMAT -2 2020/05/20 V29, Q49, Total:640
Kaplan GMAT -3 2020/05/26 V32, Q49, Total:660
Kaplan GMAT -4 2020/06/04 V32, Q50, Total:670
GMAT Prep 5回目 2020/06/07 V21, Q50, Total:600
GMAT Prep 6回目 2020/06/08 V34, Q51, Total:710
Manhattan GMAT -1 2020/06/09 V33, Q46, Total:650
Kaplan GMAT -5 2020/06/11 V32, Q50, Total:670
GMAT Prep 7回目 2020/06/12 V27, Q51, Total:660
GMAT Prep 8回目 2020/06/13 V32, Q50, Total:700
GMAT Prep 9回目 2020/06/14 V38, Q51, Total:730
GMAT 本番 1回目 2020/06/15 V25, Q51, Total:650
Kaplan GMAT -6 2020/06/20 V33, Q51, Total:680
GMAT Prep 10回目 2020/06/21 V33, Q50, Total:700
GMAT 本番 2回目 2020/06/22 V34, Q50, Total:700

実は私自身は、最初にOGをダラダラやってしまったので、4/22までは基礎固めがそもそも出来ていなかった。そこから1週間で基礎を詰め込み、OGの2周目を上記のログを取って5月1杯やったのだが、これは効果がてきめんだったと言えると思う。

 

 

その他のTips

①予備校は必要か?

私は塾には行っていない。もちろん金で解決する部分はとにかく解決したいが、塾に行くことのデメリットを認識したほうがいい。相談相手ができるのは良いが、結局自分との戦いなので、雑音になる可能性が高い。また、講義形式は自分がすでに理解している問題に関しても、それなりに時間が割かれるという圧倒的なデメリットがある。

ちなみにUdemyやYouTube等の講義を少しだけ聴講したが、全く役に立たなかった。昔からそうだが、人の説明も聞かない、説明書も読まないタイプで、やってみて学ぶタイプなので、講義形式が合わなかっただけとも言える。

 

②お酒は控えよう

試験前1週間は禁酒したほうがいい。これも前日リラックスしたほうがいいかなと思い、Online GMATの前日は1杯だけビールを飲んだが、結局当日の緊張は変わらないし、記憶力が下がる。効率が悪いので、できれば1週間は飲み会も寝酒も控えよう。

 

③問題ログの他にアクションログ及びスケジューリングを徹底する

MBA受験をプロジェクトと考えると、GMATと並行して取らなければいけないアクションは山程あるので、それらも含めてのプライオリティの見直しとアクションが良かった悪かったの振り返りは定期的に行うべきだと思っている。その前提となるのが、いつ、どう考えて何をして、それがどのようなoutcomeを生んだかということの整理だと思う。プロマネに近い話だと思うが、主体作業者が基本自分しかいないので、自分が一番管理しやすいフォーマットでやるべき。

 

④GMAT Onlineについて

受けていないならすぐに受けたほうが良い。Q→Vしかないなどの問題点はあるが、個人的に5回のカウントに入らず、且つAWAをサボれるというのは大きい気がする。ただ、家の環境準備など気を配ることも多いので注意。

 

⑤GMAT対策前の英語力向上

The Economist(https://www.economist.com/)の購読がおすすめ。一日5記事あたりを読んで、ボキャブラリー・難文法のピックアップとトピックセンテンスの抜き出しなんかをやると、ガンガン読解力が上がっていくと思う。

 

 

実は3ヶ月もその気になれば2ヶ月くらいに短縮できた気がする。結構遠回りだった。

辛かった部分もあるが、実は楽しんでいた部分もあった。今後GMATを経験するすべての人には苦労してほしくないので、できるだけ丁寧に対策とルーティーンを書いてみました。