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Welcome to the Agency of the Future | Agency News - Ad Age

今更すぎるがこれが面白かったのでシェア。
あまりにもimpressiveだったので、agencyにいる人は勿論読んでると思いますが、ぜひ読み返して欲しいです。

まず前提条件として、海外のエージェンシーは結構ファンクションもしっかりして、アウトソーシングビジネスとしての色が日本よりも幾分強いです。その中で、エージェンシー不要論やTransformの必要性というのが毎日のように語られています。それはデジタルシフトの中で、そもそもアウトソーシングされるプロセスの質や内容が変わってきたことに加えて、ビジネスフィールドが少しずつコンサルティング企業とoverlapしてきてるというのが背景にあるわけです。

They must manage marketing across devices and serve customized ads to specific audiences based on real-time analysis of constantly changing data. That data must inform creative, CRM and media buying strategies tied to new commerce and brand experiences.

"We want the best creative across all consumer touchpoints. Agencies need to make their complexity invisible."
"Agencies will be built around clients and consumers, not brands or channels like TV or digital,"

そのビジネスフィールドの変化、っていうのはまぁ上記を参考にすると・・・下記のように整理されるわけです。

1.チャネルベースの最適化からコンシューマーベースへの最適化へ。

2.それに伴い、データ領域、CRM領域がビジネスフィールドに入ってくる

3.それに伴い、恒常的サービスやリアルタイム最適化が業務領域に入る

"As content and distribution platforms become more interdependent on each other, the concept of a media agency [and] a creative agency will once again merge," he said. "For a brand like Pepsi, it was once sufficient for us to produce four pieces of content a year -- mainly TV -- and we could spend about six to eight months developing that one piece of content and spend $1 million on each piece of film. Now, that four pieces has turned into 4,000; eight months has changed to eight days and eight hours; and budgets have not gone up. Maybe [we have to publish] so quickly and efficiently that it needs to be more of a content-publishing group that sits inside the company and augments the work done through [agencies]."

もっと言うと、クリエーティブとかメディアとか旧来の粒度での業務支援は統合=integratedされる必要がある一方で、最適化の粒度は、どんどんリアルタイム、細分化されている=fragmented化されていくわけです

即ち、これまでの働き方を180度とは言わないまでも結構変える必要がある。というのが本論なのですな。

The term "agency" will also go away and be replaced by the term "partner," he said. The name "agency" is "really predicated on an old-fashioned idea of being an agent to a client for creative services, said Mr. Jakeman.

さてさて、こう考えて行った時に、「ではどう変えればいいのか?」という課題にぶち当たるわけですが、我々エージェンシーサービスのアセットを冷静に見た場合に、取りうる判断は2つしかないと思っています。
1.バリューチェーンを伸ばす。コンテンツ投資、メディア投資、テクノロジー投資を行い、利ざやを伸ばしていく。
 同じ代理店で行くと、HISのハウステンボスも同じような話です。日本だとサイバーエージェントさんが先行してやってますね。というか元を言うと、日本の総合代理店もある意味でマスメディアとは同じような関係性似あったわけです。コンテンツ投資は正直ギャンブル的なところが有ります。1億円を10個のコンテンツに投資して、当たった1個で10億円稼ぐみたいな感じです。まぁ、投資しにくいっすね。判断もつきにくいです。テクノロジー投資も、現状のエージェンシーとテクノロジー派閥の人間がうまくunify出来るかどうかに疑問があるのと、テクノロジー企業(アド領域の大きなところ)はそれはそれで既にエージェンシーよりもお金持ちだったりするので、そもそもまともな企業はそんなこじんまりとした投資を求めてないという背景が有る気がします。


2.組織体の変更、プロセスデザインの変更
勿論、1.によって少しずつ何かが変わる可能性はありますが、本丸は2.だと思っています。
私個人の意見を述べると、エージェンシーの経営者がやるべきことってそんなに多くないと思っています。
エージェンシーの経営そのもので僕がクリティカルだなと思ったのは下記2つです。

1.捨てるべき領域、拾うべき領域を明記する。ビジョン及びカルチャーの規定。

2.各人が働くハコ(グループデザイン)とハコの決算集計の仕組み(アカウンティングデザイン)及びハコのリーダーの規定。
特に前者は凄くエージェンシーっぽいところだったりします。ちょっとかます位がちょうど良いというか・・・。
後者が結構クリティカルだと思っていて、多くのメガエージェンシーグループが異なる多数のブランドで構成されており、それぞれが独自の社風、専門性を持っているわけなのですが、この概念はコンサルティング企業にはない部分だったりします。このcomponentをどう作っていって、どうintegrateするかが今後のエージェンシーのツボになると思います。

さて、ここでも書かれている通り、色んなモノを見直す必要性が出てきます。

But smaller size should not limit or diminish agencies, Ms. DeCourcy added. "Why didn't Kodak invent Instagram? Kodak was 300,000 people and Instagram was 12. So that's not a progressive growth of an aging industry. It's the progressive growth of photography." The same will be true for the ad business, she said.

恐らくですが、広告代理店のクリエーティブ部門が部単位で全部分社化した時のメリット・デメリットってなんだろう、という位ゼロベースでの思考が絶対に必要になってきます。
「僕個人としては、規模とかどうでも良いけど、今のうちの会社がまとまっていることによる恩恵はメディアでしか感じていないです。バックオフィスの仕組みはもっと改善の余地があるし、営業がインプットで何時間も浪費することが当たり前になっている現状の仕組みが良い訳がありません。あと社内競合とかやるのであれば、もっと競争が激しくなるようにすべて分社化して、従業員のtransferの仕組みだけ強めるのが良くないですか?経営陣の責任を重くするのと、個人のPLを可視化するのがこの領域では一番重要ですよね?」
的な、ことを声高らかにいう人が出てきて、いやいやいや、という議論が交わされる変革の時代が到来するべきだってことですね。(別に僕の意見ではありません)


But there may be fewer of those holding companies. Speaking on a call with analysts last week, WPP CEO Martin Sorrell predicted that in time, "six will become four" as the top communications groups --WPP, Omnicom, DentsuAegis Network, Publicis Groupe, Interpublic and Havas -- consolidate further.

そして、ハコを経理上まとめる上では、現状の6メガエージェンシーは4になる、とMartin Sorrelは話しているわけです。
結局バイイング領域は相変わらず数の暴力が効くわけですから。

"I don't think any ad agency in the world can do better speaking to my audience than me," said Mr. Simmons, whose ADD content features poets, celebrities and comedians targeting an urban millennial audience. "Brands get in and speak the language of what I consider to be the best brand-building community in the world. If [my influencers] say Coke is cool, Coke is cool."

あと、テクノロジーの進展が前提ですが、メディア企業と広告主が売買機能を内包していく可能性は十分にあります。メディアってやはりコンシューマーと直に向き合っていて、誰よりもコンシュマーbehaviorを知っているので、そこに注目がいけばいくほど彼らの価値は再び見直されると思っています。


Dentsu Aegis CEO Jerry Buhlmann: “Eventually, Everything Will Become Programmatic” | AdExchanger
我々のリーダーであるjerryがadexchangerのインタビューに書いてますが、私個人としてはコンサルも別段execution機能が低いとは思いません。ただ、人をバカスカ切ったり、transformationに優れたコンサルティング企業に比べて、エージェンシーの生き残る道はある種のカルチャーだったり、互いのブランドに対するリスペクトみたいな人間くさい部分がモノを言うのではとふんわり思っています。