足ることを知らず

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1ヶ月海外で仕事して気づいた戦略

自分が異国語で価値を出すには?

この1ヶ月間、ほぼ英語で仕事をしてきたために、物事を複雑化させるよりもむしろシンプルに考える方向に思考を向けてきた。

さて、我々ホワイトカラーの仕事というのは基本的に情報加工業務なのである。必要な人に必要な情報を出来るだけ少ない時間で伝達するというのが仕事のエッセンスになる。

例えば、今あなたがやっている資料作成は、きっと誰かに何かを伝えて、価値を生み出す更なる情報生成や意思決定につなげるためである。基本的に、その生み出す価値に対して、かける時間が少ないほうが「いい仕事」とされると思う。

情報加工の本質

さて、情報加工はその情報量をどうするかによって下記の3つに分類される。
1.増加させる
2.そのままにする
3.減らす

そして、どの手法を取ったとしても、あなたの仕事は「受け手にとって、情報の質を上げたもの」になっていなくてはならない。

1.の場合、あるシンプルな事柄に対して「裏を取り」情報の質を上げている、「自分なりの仮説/視野を加えて」情報の意味を広げているなどである。
2.は、同じ情報量なのであるが、「並び替える」「言い換える」等の手法で、相手方が理解しやすくなる手法である。
3.は言わずもがな、エッセンスを抜き出し、必要十分な情報のみを伝える手法である。

一般に言う「わかりにくい資料」というのは情報を増加させた割に、その情報増加の意図がない上に、相手に合わせて②と③の処理を行っていない資料のことを言う。

言語が足枷になった時
1時間英語で雑談が出来るか?と言われれば1対1ならば間違いなく出来る。むしろ4時間くらいは任せてくれ。

ただ、会議で発言できるか(割り込めるか?)はまた別の話だし、プロジェクトに貢献できるか?というのも別の話である。

ここで私は自分が仕事を進めていく上で、いくつかの課題がある事に気づいた。
・欧米人同士の会議(6-10人)では、キャッチアップに精一杯でほとんど発言が出来ていないこと
・且つ上記の会議に関しても細部まで正確な理解ができているケースは少ないため、ネクストステップに支障をきたすこと
・雑談と異なり、ミスコミュニケーションは命取りになるため、コンセンサスは日本よりもより一層深めておくこと

まず、発言であるが、これは昔P&Gの社員の方からも聞いたことがあったのですぐに対応した。欧米人、外人の論点を常に追い、時々predictするのだ。自分の予想した論点になったら、ラッキー、真っ先に発言をしておく。若しくは、確認のフリをしてここまでの論点整理をしておく。
一番良くないのは、ぽい相槌を打ちまくって、仲間に入った感を出すことだと感じた。まず、ぽい相槌はエセ関西弁のように不自然なのだと思う。そして、それは会議において何の価値も出していない。
ちょっとくらい怪しい英語でもそこに価値があれば(勿論怪しい英語でも聞こうとする価値があるほどには価値がなければならない)、人は耳を傾ける。
注意すべきは、プロジェクトの途中で入れられた会議は物凄く辛い。サマリーも予測もそこまでのコンテクストが重要なので、厳しい物が有る。

次に理解だが、できるだけ会議を録音することにした。そして、聞き直して、細部を確認する。我々は音声コミュニケーションをする際に、常にコンテクストを仮説で立てている癖があると思う。だからこそ、仮説がずれていた場合、とんでもないミスをしている場合がある。だからこそ、ニュートラルな気持ちで一度聞いてみるのが大事だ。また、これは自分がどれくらい発言できていたかを調べる、良い材料にもなる。
その後は絶対に紙に落とすこと。非効率だが、能力が足りない自分のためだ。サマライズしよう。これが、後の糧になる。またいざとなった時にはそれを見返したり、人に送ったりすることで、次のステップを可視化する役割を果たせることになる。いわゆる会議で1の情報付加が山程行われたものを、2+3で紙に落としてあげて、配るという作業だ。ただし、最初の方は人を限定して配ろう。間違っているものを上司含め、たくさんの人に配るのは良くない。怪しいものを配る奴というイメージがついてしまう。

また、この後のコンセンサスも紙に落としてあるとわかりやすい。言語能力への自信度合いに応じて、文章中心かパワポを起こすかは分けたほうがいい。絵のほうが、浸透度が高い分、精緻に伝える能力は低い。雰囲気で理解してもらっても仕方がない時は徹底的に文字を酷使しよう。ただし、強調表現は山程使おう。

意識しているのは会議において、その場で1情報量を増やそうとしようとしないことである。全員が1をしようとしている場では、逆に②や③を中心に形成した方が良い。その後、会議が終わった後に、丁寧に会議をなぞり、2と3で突き詰めた後、1のアイディア付加を行い、資料で自分の価値を出そうとしたほうが良い。突発的に母国語以外で反応するのは難しい。だからこそ、表面的なものよりも本質的なものに迫ったほうが良い。同じ時間でどれだけ自分がoutcomeを生み出したか、誰かの仕事を減らしたり、同じ仕事量でも多くのoutcomeを生み出したかを考えると、言語に自信がないからこそ、中身を磨くべきなのだと思う。英語もシンプルになるしね。

ただし、彼らは資料を見ようとはしないため、時間をもらって、Let me make sure my understandingするのとCould you review my materials?するのは必須である。

長々と書いてきたが、やっぱりsurvive出来るか出来ないかというヒヤヒヤ環境に6ヶ月ながらぶち込まれるのはとても楽しい。