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Brexit狂想曲に見る日英のResponsibility観の違い

Brexitの終着点
相変わらず、グダグダのイギリスMPsですが、先日のVoteでとりあえずNo Dealだけは避けることができました。
www.bbc.co.uk

この中の画像を見てほしいんですが、まさかの全可能性がまたもや再発しているというとんでもない自体です。「もうBrexitやめときゃいいじゃん」という声も聞こえるのですが、それをしてしまうと、何百年続く民主主義への冒涜であるという声は相変わらず大きいわけです。では、再選挙は?またBrexitになったときのリスクを誰も取れないことと、民主主義で一度決定されたことを、もう一度国民に問うというのは、例えば権力者がほしい答えになるまで再投票をし続けるようなスキームも組めてしまうわけで、飛んだ茶番だと感じる人も多いわけです。

さて、本記事では、Brexitそのものではありません。それをLeadする立場にあるPrime MinisterのTheresa Mayに対する評価が、あまりに日英で異なるのです。

日本人目線=「我慢強い、力強いリーダー」
日本人のPMに対する評価は概してポジティブな気がしています。もともとAgainst Brexitだったにもかかわらず、BrexitのExecutionというとんでもないハズレクジを引かされながらも、明らかに弱体化したBritainの立場からEUと約束を取り付け、そのDealをもはや各議員のブランディングの場と化している議会に提示すれば、「Bad deal」として否決される。
胃が張り裂けそうな苦境に立たされながらも、PMは一切辞意を見せず、粛々とEUとUKの間を行き来して、Brexitの調整をしようとしています。
日本人は彼女のひたむきで、自分に与えられた課題をとにかくあきらめずにやりきるという点に力強いリーダーシップを感じるようです。

英国人目線=「平凡にもかかわらず立場にしがみつくリーダー」
英国人の中でもいくつか評価はあると思うのですが、PMに対する一般的な評価は結構ネガティブだなぁと感じることが多いです。そもそも、強力なリーダーシップがあるのであれば、今の議会のコントロールを失った状態はありえないというのが本旨なのだと思います。そして、彼女がやっていることは調整でも交渉でも何でもなく、EUとUKの言っていることを聞いてそのまま相手方に伝えているだけ、何の戦略性も創造性もないという意見があります。Brexitのようなただでさえ、Toughな状況を打開するには、彼女のような「粛々と物事を進めるタイプ」では何も前に進まないのです。もちろん、彼女が辞任した後に、じゃあ誰が代わりを務められるんだという話はあると思うのですが、それはさておき彼女が政権をとってから3年間近くの猶予があって、結果この体たらく(また再投票も含めてすべてのオプションがテーブルに上がっている状況)はなんなんだというわけです。


責任とはなんなのだろうか
私が英語教師に「PMは日本では評価はとても高いよ、とてもResponsibleな人だよねと言われている。」と話すと、英語教師は、「彼女はResponsibleから最も程遠い。その業務を遂行する能力がないと自他ともにわかりかけている状況で、そのリーダーの座を降りないというのはResponsibilityを果たしていない。」と返ってきました。

同じResponsibilityでもその果たすべき責任の定義が日英で若干異なり、ここまで異なる評価になっているのかなと感じます。
日本の場合、とにかく自前でやりきること、「責任転嫁」をしないことが重視され、苦境に立っても「逃げないこと」がリーダーとして評価されているのに対し、英国(もしくは英国の一部)では、ある一定の期間にきっちりと成果を出すことが責任であり、それができないのであれば自分のポジションを明け渡したほうがマシ、という考え方が強いのではないでしょうか。

確かに日本人のリーダー観の中には裏切り者や逃亡者をとにかく卑怯者として叩く風潮がありますし、苦境を耐え忍び、成長へ向かわせるリーダーの評価がとても高い気がします。(ウィンストン・チャーチルもそうじゃんって思うところもありますが)

最後に英語教師のイギリス人っぽいジョークで締めます。
「このBrexitの議論でイギリスの政治のポジティブな面も見えているの。それはとても透明性が高いってこと。一見、ものすごくChaoticに見えるでしょ?そう、実際にめちゃくちゃChaoticなのよ。」




How different Japanese and British people feel their responsibility?

Through the arguments about Brexit, I feel some differences about the definition of responsibility between UK and Japan.
Japanese people basically think Prime Minister(PM) as a responsible and strong leader because she never gives up to persuade the Prime Minister and EU. Additionally, she is still facing so many different headwind and difficulties however she doesn't seem to resign her role.
Her attitude seems to be very responsible for Japanese people because Japanese typical leaders easily resign their roles if some troubles happen.
On the other hand, British people think she clings to PM role. It's definitely apparent there has been no progress in Brexit conversation for these three years. With 36 months, the only thing we have decided is just to extend the deadline. My British friend said "She should have resigned much earlier. She could neither bring good Brexit deal and persuade the MPs. The responsibility of Prime Minister should be executing this deal within a certain limited project period. I don't think she has a clear plan and have any idea where to compromise. The one thing I feel confident about British politics is its very transparent now. It seems to be chaotic situation for people and actually very chaotic disaster."

So I think there is a critical difference between UK and JP about what the responsibility is.
Japanese tend to think responsibility is to finish or complete something without giving up. And it's not necessarily based on the results. However British people think the responsibility should be evaluated by the result. And staying in the position without any results means a kind of lack of responsibility.