足ることを知らず

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プロフェッショナル仕事の流儀〜井上雄彦〜で気付いた井上さんとキャラクターの共通点

本日(正確には昨日)放送された「プロフェッショナル仕事の流儀」は漫画家の井上雄彦さんだった。

この番組も好きなのだが、井上さんの漫画も大好きだ。

元々自分の大好きなシティーハンターの作者、北条司先生のアシスタントだったらしい。だから、放送の中でもシティハンターの単行本を見ることが出来た。

さて、番組内で非常に面白かったのは井上さんが「ストーリー」を全く練らないということ。ストーリーは生きた「キャラクター」が作り上げる。自動的にドラマになる。

だからこそ彼は「キャラクター」が死なないように、「キャラクター」に嘘をつかせないようにする。そのために莫大な時間と集中力をかけて、キャラクターになりきる。

でも、実はキャラクターになりきるということと漫画を描くというのは非常に相反するプロセスだ。何故なら、相手になりきって相手の肖像画を書くというのは非常に難しい。相手の主観を取り入れながら、客観的に、読者が入れるように「描く」のである。この作業は想像を絶するだろう。特に他の漫画家に比べ、全体構成とか客観性より何よりキャラクター一人一人の主観を大切にする井上さんだからこそかなりキツい作業なのかもしれない。

ただ、キャラクターに依存する分、実は井上漫画というのは結構ワンパターンであるとも感じた。

主人公は必ず井上さんに似てくる。桜木花道も武蔵も井上さん自身が仰っていた公約数に強く支配されている。

・圧倒的な挫折
・決してあきらめない努力の人
・何人ものライバルを追い越す成長力
・目標は高く
・成長して気づく、相手の凄み

他にも漫画を読みこんだ人ならばいくらでも挙げられると思う。


そして、ストーリーが全てキャラクターに依存する以上、似たようなストーリーになってしまうのは仕方がない。

私は「ワンパターン」という言葉を決してネガティブに使うつもりはない。これは井上さんの人生をそれぞれのキャラクターを使って描いていると思うからだ。ワンパターンではあるが、どんな題材にしても面白くなるストーリーである。

加えて、井上さんが成長を求め、足ることを知らない求道者である限り、「漫画を書いているうちに成長している」ため、前のスラムダンクと今のバガボンドでは深みが少し違う。これは題材に由来するのではなく、井上さんの成長に依存しているのだと思う。

何はともあれ、彼からイチローと同じ求道者の匂いを感じた。そして、求道者になるには実は「日々の変わらない習慣」が基礎になっているのかなと感じました。