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よい戦略とは -What is the good strategy-

この記事がすごかった。
【全文公開】伝説の漫画編集者マシリトはゲーム業界でも偉人だった! 鳥嶋和彦が語る「DQ」「FF」「クロノ・トリガー」誕生秘話

鳥嶋さんと直接お会いしたことはないが、すごくクリティカル・シンキングをされる方なのだと確信した。

・全ての行動がシンプルな行動原理によって裏打ちされている。
・戦略的行動の本質をゲームに近いものと捉え、次の行動の問いを的確に設定する。

そんな一貫した思考回路を経ていくと、人というのはフィロソフィーにたどり着く。鳥嶋さんのフィロソフィーは「キャラクター重視」ということなのだろう。ストーリーなど二の次、とまで言い切れるのはフィロソフィーなしには説明できない。


もう一つ素晴らしいのは、彼がそのフィロソフィーに従順で、且つそのフィロソフィーを守るためならあらゆることを実験し続けたことだ。鳥山明も彼の実験の一つだと思う。
更に素晴らしいなと思ったのは、実験の仕方が常に正しいこと。編集者のSoWをきっちりと定義し、漫画家との領域をきっぱりと分けながら、編集者のSoWの中で最も最適なやり方を磨き上げていく。

シンプルなように見えて、その裏側にはものすごい数の「実験」と「ラーニング」があるのだ。この不変の部分(フィロソフィー)と変化への対応(実験)を見誤ることが、経営や意思決定の失敗の大半を締めていると思っている。

よって、彼がやってきたことはシンプルに下記で言い表される。
①編集のSoWを定義する。
②編集のSoWに沿って、自分のパフォーマンスを最大化する。感想ではなく、左脳的な指導、ただしディレクションは行わない。
③視座を高める。(ゲームの話はもはや一編集者の域を超えている。また編集長時代も同じことが言える。)
④まだ存在しない領域・仕事の役割を他者含めて定義する。

編集長時代もこの繰り返しである。
勿論、①、④のような定義の段階において、彼はものすごい量のインプットを行っている。インプットした上で様々な問いを脳内で行っているはずなのだ。白泉社の社員全員にヒアリングというのは、好例だと思う。

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

この本にも通ずるところがあるが、この変動の世の中、また既存ルールが崩壊する世の中では、常にゼロベースで前提条件に対し、自分の質問を問い続けなければならない。その際に重要になるのはフィロソフィーなのだと思う。何かしら人よりもrelativelyに考え抜いた結論がその後の問いの柱になるのだ。なので、その組織内でもよいのだが、何かこの領域では負けない、という特定芸若しくは考え抜いたと思われる経験を身につけるのは極めて重要なのだと思う。
その上で、その自分のプライドを常に質問に晒し続けるというマインドが今後必要になってくるのだと思う。問いの頻度と哲学の頑健性というトレードオフをちゃんと解決した先に、鳥嶋さんのようなスーパーマンが生まれるのだと思う。

個人的には下記のプロセスを踏まえながら今後のインプット/アウトプットを意識したい。

・シンプルな環境原理を発見する(理解)
・その領域における自分及び他者の役割を定義する(アウトプット1)
・実際に定義された役割が回るような環境/交渉を行う(アウトプット2)
・常に環境原理にもとづき、今の自分の意思決定や戦略を検討し続ける。数値化出来ればもっと良い。(評価)