ドリルを売るのではなく、穴を売れという議論
ドリルを買いに来た人が本当に欲しいものはドリルではなく穴だから穴を売れ、って話あるけどさ
— とあるコンサルタント (@consultnt_a) 2021年9月13日
本当に欲しいのはおそらく利便性の高い棚とかであって、別に穴が欲しいわけじゃないと思うのよね、穴を開けるのは手段だから
適切なイシュー設定は難しいテーマなのよ
このドリルと穴の話、元々Theodore LevittというHBSの教授が抜粋として抜き出してきた。
要するに、人が求めているのはBenefitであり、ProductでもMethodでも、Workloadでもないということだ。これはとても難しい話で、元ツイにも書かれていたが、
①何故ドリルが欲しい→穴が欲しいから
②何故穴が欲しい→棚が欲しいから
③何故棚が欲しい→本を置く場所がないから
④じゃあ、電子書籍があればドリルはいらない?→いらない
みたいな、深堀をしていくことで、隠れた本当のベネフィットを見つけ出す可能性がある。一方で、この深堀に穴はないだろうか?
否、勿論存在する。
この例がわかりやすい一番の理由は、ドリルのようなProductの効用は穴をあけるというシンプルなベネフィットに落ちることだ。そして、ドリルは高い。しかしながら、現実では、商品のベネフィットは多岐にわたる。たとえばソフトウェアProductなどを対象にした場合、一つのソフトウェアの効用はとても多い。更に複数のFunctionが重なることにより新たなBenefitが生まれることもある。これは、シンプルなベネフィットをどんどん深堀りしていく思考だけでは生まれない。
もう一つは、ベネフィット側、Customer側の論理が重視されるあまりに、Supply側、すなわち提供側のフィジビリの議論が置いて行かれる可能性があることだ。④は実は深堀ではなく、現実的に提供可能な解を示したに過ぎない。③がもっと哲学的なところに飛んでしまった場合(現実に解決できるすべがない方法)、深堀をやめて、一歩手前に戻る必要がある。