足ることを知らず

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テレビは本当につまらなくなったのか?テレ朝、TBSのyoutubeとの提携は愚行か?

自分自身、ここ数年でテレビを見る時間は激減した。忙しくなったということもあるし、テレビをつけていて、そうそう面白いなぁと思うことも少なくなったためである。

2chではテレビ番組はくだらない、テレビはもう終わりだという論議がなされている。昔の番組や海外の番組と比較したり、インターネットのコンテンツと比較され、こき下ろされる。


何故、テレビを見なくなったのか。本当にテレビは昔に比べ劣化したのか。


コンテンツに限れば、「ほとんど劣化はしていない」と思う。たまたま見ためちゃイケは結構笑えるし、久々にもやもやさまーずを見ても面白い。そもそもテレビって何か変わったか?と思う。多分制作の仕方なり何なりあると思うが、下請けが圧迫されるような業界構造とか考えると「コンテンツ作り方」は結局あんまし変わっていない気がする。2chでコンテンツがこき下ろされる反面、「このスレッド、テレビの影響受けてるなぁ」と思うものは沢山ある。

以前、8時だよ全員集合!を見ても全く面白くなかった。逆に向上した点として画質とか細かい点を挙げればキリがない。そういう点では一応時代のニーズに合わせてコンテンツはブラッシュアップしているのである。

ただし、ニュースや雑学系番組、政治系の討論番組は全く面白いと感じられなくなった。これも昔からあったものだと思うが、私の感性が変化してきたのかもしれない。

そして、昔と比較するならば、「おおちゃくい番組」が無くなったなと感じた。別に下ネタやアダルトを公に放送しろと言っているのではない。表現としてギリギリのところを突いてくる様なものが無くなったなと思ったのである。また、クライアントへのおべっかが番組中にこれ見よがしに出るようになった。以前のニコニコの「ファミファミファミマ」はとんでもない脅威 - 足ることを知らず〜Don’t feel satisfied 〜でも述べたが、「目的」が透けるコミュニケーションははっきり言って不快だ。これはリーマン以降の不況で局と広告費を圧縮しているクライアントの力関係が変わってきたのかもしれない。

そして、何より忘れてはいけないこととして、私は「今までテレビを見ていたはずの時間」を何に充てているのかということである。異常な情報洪水で、12年前に637倍の情報量が世の中に流れているという総務省のデータもある。これは代替品や外部環境の変化と言えるかもしれない。

正直、私自身の感性やライフスタイルの変化は無視していいことなのかもしれない。それは、個人的なことだし、年齢を負うごとに変わるものだから。私が変っても、以前の私と同じ様な(勿論時代と共に変わるだろうけど)ライフスタイルの少年が現れることは容易に想像出来る。

だったら、もうこれはコンテンツの問題ではないのだ。情報媒体としての問題なのである。コンテンツはこれまで通り作れば良いと思う。現にGoogleの日本における検索ワード(1時間)のトップ10は見事にテレビと連動している。

だから、放送枠をいじったり、番組を打ち切ったり、コストを削減したり、とそんなことは実は瑣末だし、正しいことではない。100%課題解決に結びつかない。「面白いコンテンツが出てきた。だから、我々もコンテンツを面白くする」という考え方は確かに正しいかもしれない。ただ、コンテンツの面白さが発信側だけでどうにかなる時代ではなくなってきたCGMの様に、コンテンツの受け手側で魅力を倍増させていく時代が来ているのだ。


じゃあ、テレビ局はどうすればいいの?

他媒体の方が適したコンテンツはテレビで放送しないというのが第一。
情報系のコンテンツ(ニュースとか)は明らかに流動性の高いテレビでやるべき内容ではない。まぁ100歩譲ってニュースはいいとしても、例えば料理番組なんて絶対テレビが最適媒体じゃない。ああいうノウハウ自体がコンテンツとなる場合、書籍や「検索可能な」動画等、「蓄積」「検索」出来る媒体が最適である。キュー○ー3分なんて今や誰が見てるのだろうか。ニコ動でやれっていう話だ。おもいっきりDONもwebネタ持ってきているだけじゃないかと。

webは自社でやらない。
webの最適媒体は自社サイトでないことに気付くべき。コンテンツ制作・ライツの管理のみを行う。

と、思ってたらこのニュースだった。http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090929/biz0909291132002-n1.htm

全然悪い流れじゃないと思う。というかやっとこういう考えを持つ局が出てきたかと思った。勿論、動機は上に書いていたものとは少し異なるかもしれない。TBSもテレ朝もキーの中では特別厳しい状況に置かれているから、ただ注目を集めるために行っただけかもしれない。しかしながら、これをきっかけに変わって欲しいんだ。

そう、テレビが面白くないのは「何もかも変えにくい業界構造」だからだ。変化に対応出来ない、コンテンツという課題解決の物凄く狭い打ち手の一つで全てを解決しようとする。規制産業だからっていうのもあると思うけど、異常な高給だったり、「業界人」と呼ばれるような不思議な文化がこの業界構造を作ってきたのかもしれないね。


ビジネスモデルをマルっと変える勇気を持つのも一つだ。
FOXの様にクライアント・広告費依存から脱却したコンテンツホルダーとしてのビジネスモデルを模索するのもいいかもしれない。勿論、製作費の問題や海外ウケするかっていうリスクを考えれば、広告モデルの方が楽かもしれない。しかしながら、それを検討し、本気でやってみる勇気が必要だ。コンテンツホルダーになることは思いついている。映画の配給は以前に比べて増えた。それを海外市場に持っていく勇気があるかどうかだ。

色々述べたけれど、結局は本当の意味で「変わる勇気」があるか。適正な給与をもらい、テレビマンなんて格好をつけず、コンテンツホルダーとしてビジネスに本気で取り組む人材を育てられるか。それが存続への最低条件だと思います。