足ることを知らず

Data Science, global business, management and MBA

FAANGの強みが機械学習とか言ってるやつほんとセンスない

ちょっと煽り気味のタイトルにしてみたけど、言いたいことはそんなにずれていない。

 

FAANG(除くApple)という会社の強みを根本的に支える強みが何かということをみんなシンプルに考えていない。

 

莫大なキャッシュと投資?

それは太いビジネスとIPOによって後からついてきたものだ。強いからみんなが投資するし、強いからキャッシュを持つことができ、強いから投資ができる。高い給与水準により、いい人材も集まる。

 

莫大なユーザーを抱えていること?

うん、いい筋だ。だが、どうして莫大なユーザーを集められたのだろうか。インターフェース?いやアマゾンのインターフェースは贔屓目に見たってクソだ。機械学習による素晴らしいレコメンド?それって本当に機械学習によるものだろうか?

 

アルゴリズム

FAANGが過渡期において優秀なエンジニアを惹きつけたことは間違いない。そして優秀なエンジニアというのは莫大なデータ、ユーザーに集まるわけでニワトリタマゴの問題になりがちだ。ただ、何れにしてもアルゴリズム自体の優秀さが勝負を決めたわけではない。

 

では、何が決め手だったのか?

ユーザーに対するレコメンドが良かったから、ユーザーが増えたのは多分間違いない。でもそれはレコメンドエンジンというよりは巨大な在庫が生み出すレコメンドと言えると思う。

 

そう、彼らの強みは在庫である。(特に初期は)

GoogleであればどれだけのWebページを彼らの傘下に入れられたか。Facebookも同様である。Amazonの商品がたった10000点だったら誰も使わないだろう。Netflixは?彼らは自ら増やそうとしている。しかも、自分だけの在庫を。だからあれだけたくさんの独自コンテンツを作っている。

 

Googleの買収の最も賢い事例はDeep Mindではない。YouTubeだ。彼らが自ら在庫を持っていて、かつそれをプレミアムな在庫として仕立て上げることが一番の競争優位だ。現にYouTubeはそういう在庫になりつつある。

 

よくユーザー側の多様なインサイトに注目が集まるが、何より大事なのはそのインサイトに応える「答え」を多様な在庫の中から選べることの方がクリティカルだし、現にユニコーン企業がスタートアップからユニコーンと認められるときというのは、ユーザーではなく、在庫を確保したときだと思う。

というわけで、実は在庫の質と量がコンシューマーを引きつける一番の競争要因であるという事実がずっとビジネス界では変わっていないのでは?という話でした。