足ることを知らず

Data Science, global business, management and MBA

わかる気もするしわからない気もする。

渡辺さんの「海外で勉強して働こう | On Off and Beyond」を読んで。


これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。
1)日本はもう立ち直れないと思う。
だから、
2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。

これの1)にあまりに違和感を感じる人が多くて、コメント欄は凄く不毛な争いになっていた。
そもそもどの点で「立ち直れない」のかが明確にされていないからだと思う。

今の私が考える、日本の20年後ぐらいの将来はこんな感じだ。

* ベストケース:一世を風靡した時代の力は面影もなく、国内経済に活力はないが、飯うま・割と多くの人がそれなりの生活を送れ、海外からの観光客は喜んで来る(フランス型)
* ベースケース:貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす(アルゼンチン型。あの国も19世紀終わり頃には「新たな世界の中核を担うのはアメリカかアルゼンチンか、と言われたほどだったんですけど・・・・)
* ワーストケース:閉塞感と絶望と貧困に苛まされる層が増加、右傾化・極端で独りよがりな国粋主義の台頭を促す。

と、結果だけは書いてある。
この結果がどのような原因で起こるのかをコメント欄のヒト達で延々話している。
年金問題少子化と言う人もいれば、グローバル化への明らかな遅れだという人もいる。
同様にこの具体的な点に対して反論を送る人もいた。

僕は上記に関して詳しいわけではないから、何とも言わないけど、少なくとも年金が成り立たなくなるから日本が駄目だというのは少し短絡的だと思った。
政治のせいというのは簡単だけど、日本の政治、政策だけが悪いのだろうか。

以下に愚見を述べる。

僕はファイナンスの知識に長けているわけではないが、ある銀行の方は「日本の金融技術は(アメリカに比べ)10年遅れている」と仰っていた。国民レベルでみても、これだけファイナンスの基礎知識が浸透していない国も珍しい。浸透していないどころか「楽して稼ぐのはうんぬんかんぬん」といったどうしようもないナンセンスなファイナンスアレルギーを一部上場の役員の方が仰っていたのは驚いた。この点だけは、ずっと就職活動をしていて「日本ヤバい」と思った一点である。

更に考えれば、資源の少ない日本が上記の「楽して稼ぐ」技術を持っていないというのは致命的である気がする。語弊があるといけないが、日本という国に渡辺さんが仰るような「閉塞感」を感じる一番のポイントは実は「現場重視」を超えた「現場第一主義」ではないだろうか。僕は面接で「現場には本当に大事なことがある。ディテールにこそ神が宿る。」と言い続けた。必ずしもそうではないと思いながら。僕らの上の世代は団塊の世代にこき使われた世代であり、彼らは現場偏重と言っていいほど、細かいことが大好きだ。
だから「兵士」レベルまでの思考はとにかく強い。ほぼ決まったやり方を極めるような「料理」「接客」等「道を極める」系の思考・仕事は日本に向いていると思う。

逆に全体観のある「戦略」「戦術」では大きく遅れをとっていると感じる。処理能力はめちゃくちゃ高いのに使い方がしょぼいCPUと同じだと感じる。エネルギーの動かし方は兎に角下手な気がする。
それはこの国が長いこと「頑張ればなんとかなる」と考え、「現場を極めた人間は偉い」と考えてきた結果かもしれない。

これだけ凝り固まった社会だから「変化」に弱い。日本の銀行がサブプライムで生き残ったのも「変化に対応しなかったから」である。ファイナンスに対するレッテル、英語がこれだけ話せない国であるというのも上の理由があると思う。これは、国際経済で「競争力を持って生き残る」には致命傷になるのかもしれない。

でも個人で考えた時に、恐らく日本の会社に入っても尊敬すべき人は多いだろうし、自分が仕事を楽しめれば、意外と幸せなんじゃないかと思う。ミクロに考えた時にマクロな話を持ち出されているのが違和感なのだ。この国単位のマクロな話って、本来、人々の幸せには多少影響はあろうが、本質的には全く影響がない気がするのだ。と、なると「海外で勉強して仕事をしよう」というのが何故なのかわからない。日本ヤバい。けどヤバい=不幸とは限らない気がする。

誘拐とかの話はよくわからなかった。誇大表現な気もする。



マクロで日本がいいところって考えると、根拠がないが、コンテンツってやっぱり面白いと思う。それは趣味・趣向のレベルであって、結局、フランスになるという渡辺さんの意見と同じになるかもしれない。



凄くまとまりのない駄文になってしまったけど、正論に対して僕なりの解釈をして考えてみた。