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ニコニコ動画のタグを分類してみた。

ニコニコの個性ともいえる、動画タグですが、「動画を見つける」時から、「動画を楽しむ」時、そして「動画を楽しんだ」後まで「タグ」は効果を発揮します。
今回のエントリでは、その性質によってニコニコのタグを分類してみました。

ニコニコのタグは大別して「動画の所在」となるもの、「動画の評価」となるもの、「動画の性格」を示すものに分けられます。

「動画の所在」
・住所タグ・・・「エンターテイメント」等の動画の住所的タグ。トップ画面に出るようなものは全てコレ。コンテンツ名もここに含まれる。

「動画の評価」
・評価タグ・・・「才能の無駄遣い」等の動画閲覧者によって登録されるべきタグ

「動画の性格」
・コメントタグ・・・動画内で面白かった台詞やコメントをそのまま動画属性として流用しているタグ

・定期タグ・・・何かの記念日等で定期的に付けられるタグ

・祭タグ・・・同じ住所タグにまとめて付けられる。


住所タグは動画の所在地を明らかにする検索専用のタグです。例えば、住所は「○○市○○区○○町」とどんどん絞り込まれていきますが、同じ様に住所タグにも市区町の絞り込みがあります。
例えば、御存じ「ダブルラリアット」。

D

これであれば、住所タグの市は「VOCALOID」にあたり、区は「巡音ルカ」「ルカオリジナル曲」、町は「ダブルラリアット」になります。
即ち、「カテゴリタグ」→「小カテゴリ」→「コンテンツ名」が住所タグの流れといえます。

ただし、住所タグもそこまで単純ではありません。動画なので、複数の町に住んだりすることもあります。ミクとルカのコラボ曲であればミクとルカの双方が住所タグとして登録されるでしょう。Bad Appleであれば、「影絵」がどこかに入ってきます。技術力があれば、住所タグ同士のクラスタ分析でもやってみたいのですが・・・。

このタグは基本的に検索専用なので、一回付けられると付け替えられることはそうそうありません。固定タグになっていることも多いと思います。お引越しはそんなに行われません。



住所タグ以外の部分というのはいわゆる「タグの余白」に相当します。この部分を残りのタグ分類でシェアするわけです。この部分は動画よりも、いわゆるマーケット、市場によって決定される部分と言えるでしょう。

評価タグは「才能の無駄遣い」だったり、「野生のボーカロイド」だったり、動画閲覧者による動画の評価だと考えてよいでしょう。また、「作業用BGM」のように、個々人の「動画の使い方」も評価タグといえるかもしれません。そして、ニコニコの面白い部分というのは「ユーザーの利用方法や評価」も一般的な価値を持つと検索対象である住所になるということです。いわば、「にぎやかなところ」という評価を含んだ情報をぶち込めば、「東京」「渋谷」が出てくるようなタグが「評価タグ」なのです。


コメントタグは動画中に頻繁に利用されているコメントをそのままタグとして利用したものです。このタグがついている動画というのはコメントによるコンテンツ補助が強い動画ということになります。評価タグとコメントタグとの違いは評価タグが既にユーザー認知度の高いタグで、一般化されており、そのタグが付けられた動画は評価が「高いのか低いのか」明確であるという点です。

また、定期タグが強い動画はマイリス数が多く、一定時期ごとに、見に来てもらえる動画が多いということになります。リピーターの多さがうかがえるのです。


祭タグは、巡音ルカの誕生日に「祝誕生」のようなタグが沢山つけられることを指しています。かなりソーシャルなタグといえるでしょう。本来、動画の性質を示すタグに対し、このような「即時的」且つ「インタラクティブなタグがつくのはニコニコならではといえるのではないのでしょうか。



と、タグを分類してみましたが、何が言いたいかというと、ニコニコのタグというのは単なる動画性質を示すものや検索対象の補助ではないということです。タグ自体がソーシャル性を持った「遊びの場」となっているのです。
ニコニコにとって動画検索の軸となるタグのうち、検索対象のタグは住所タグと評価タグのみです。それ以外はかなり必要不可欠とはかけ離れたものになっています。ほぼ検索には使われないタグなのです。だからこそ、くだらないSEOへの懸念抜きでタグ加工を楽しめるのです。