足ることを知らず

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ツールの使い分けを出来る人間は意外に少ない。

次々現れるサービスの波に飲まれる

サービスが多様化し、それぞれのサービスが多様なニーズの隙間を埋めようとすると
mixiのメール化、Twitterのメール化の様にツールとツールの境界線が曖昧になることが多い。

例えば、Twitterの@○○で書かれる内容なんてほとんどが「メールでやれ」と言わんばかりのものだ。「公開する必要がない」のならば、極力必要最低限の人にしか公開されないメールの方がいらぬトラブルは招かない。逆に本来メールだった内容を沢山の人が見ることが出来ることによって良い側面も生まれる。ただし、全ての人がそれを意識しながらツールを使っているわけではないし、メールで出来る様な内容をわざわざ目にすることに不快感を覚える人もいる。


思えばこの傾向は結構昔からあった。mixiではメッセージ機能というメールに近い機能があるにも関わらず、日記のコメント欄で極めて個人的なやり取りをする人が多かった。今もハードユーザーの人数が減ったとはいえ、少なからず上記の様な使い方をしている人はいるだろう。

ツールの使い分け=整理整頓に近い
使い分けというのは意外とめんどくさいのである。この使い分けが出来るか出来ないかは整理整頓が出来るか出来ないかに近い。恐らく、こういうツールに関して目的・用途を踏まえ、最適な手段として「意識し」毎回使っている人間のデスクトップは非常に整理された状態だろうと容易に想像がつく。

あまりフォルダ分けせず、全部一緒にしてしまった方が便利と思う人も多い。僕もその一人だ。このblogだって、mixiで書くべき様な内容をおかまいなしに書いている。代わりにmixiで文章を書くことはほぼなくなった。まぁ過去の5年間のサービスなら「整理できない人間」でもどうにかなってきた。どうにか。

今後10年は「整理」出来るか出来ないかが勝負になる。

今後10年出てくるサービスでは「整理」出来るか出来ないかが勝負になってくる。たとえばTwitterなんかは整理出来なければどうしようもなくなるツールの一つだ。フォローしている人が100人を超えている人はまず、リスト等の機能を使っていない限り「整理出来ている」とは言い難い。単語帳を買って英単語の学習を終えたと勘違いする人間の様にフォローしたこと自体に価値があると考えてしまう。真実はそれと真逆なのである。フォローしている人は整理されねばならない。収集した情報を整理し、自らのアウトプットに生かさねばならない。RTでガンガンつぶやく方もいるが、RTとファボッターをしっかり使い分けているだろうか。あなたはフォローしている人の発言を全て咀嚼出来ているだろうか。情報洪水は益々勢いを増す。そして、成長心や好奇心が強い人間ほど、そこで溺れてしまいやすくなる

過去の20年は情報を手に入れるか入れないかが勝負になっていた。最近10年は次へのパラダイムの過渡期だった。しかしながら、情報取得に関するアドバンテージは今やほとんどない。ある程度の欲求があれば、いつでも大体のものが手に入る今の時代、ありふれた情報など糞の価値も持たない。本当に価値を持つのは情報の整理であり、情報を「捨てて良い」という判断なのだ。

これはwebツールだけに言えることではない。ハードにも言えることだ。紙媒体の手帳とiphone、PCの使い分けが今後本当に重要性を増すだろう。すべてをiphoneでやってもいいかもしれない。もしくは、クラウド化によってネット上にデータが全てあるため、ハードはあまり意味を持たず、「入力」「出力」の便利な方という判断基準になるかもしれない。


逆に言えば、「整理の必要がない」ツールというのは価値を再び持つだろう。
情報量ではなく、整理のしやすさというのがツール選びの基準になってくるかもしれない。それを考えると、日本のwebツールやサービスというのはまだまだカオスから抜けきっていない。むしろどんどんカオスな方向に向かおうとしている。情報酔いを起こしている人も多い。

今後そんな人間にとって一番最初に崩壊するのは「ブックマーク」システムだ。間違いなく発散してしまう。現にはてブなんて活用している人であればあるほど発散している人が多い。何のためにブックマークするのか最早わからなくなってしまうのだ。ブックマークという行為が重みづけにならないほど軽いのである。

パラダイムは変わったのだ。

「何を得るか」ではない。「何を捨てるか」という時代ではないだろうか。