足ることを知らず

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ニコニコの「有料化」の上手さ

先日、ニコニコからライブイベントの開催および生中継配信を事業として行うことが発表されました。
ニコニコ動画、ライブイベント開催と生中継を事業化 -INTERNET Watch Watch

 「ニコニコ大会議」は、ニコニコ動画の有名人が一堂に会し、音楽コンサートやニコニコ動画の新機能発表などを行うイベント。8月26日には渋谷の C.C.Lemonホールで「ニコニコ大会議2010夏〜笑顔のチカラ〜」を開催し、リアルチケットを5800円で、ネットチケットを1500ニコニコポイントで販売する。

 以降のイベントは、10月28日に東京で「ニコニコ大会議2010秋(仮)」、12月18日〜2011年1月 30日に全国8都市で「ニコニコ大会議2010-11全国ツアー(仮)」、2011年2月4日〜5日に東京で「ニコニコ大会議2011 2Days(仮)」の開催が予定されている。このほかのライブイベントとしては、8月28日〜29日にさいたまスーパーアリーナで行われる「Animelo Summer Live 2010 -evolution-」などのネットチケットも販売する。

 「ニコニコミュージカル」の第1弾としては、堀江貴文氏が主演するミュージカル「クリスマスキャロル(仮)」が発表された。12月22日〜26日に東京・銀座の博品館劇場で公演される。リアルチケットを4500円、ネットチケットを1000ポイントで販売する。

ここで注目したいのが「リアルチケット」「ネットチケット」という概念。

特に後者のネットチケットの概念には、舌を巻きました。
これを一番最初に見て思い出したのは下のwolframのケース。
ネットの需要はネットの外に出ない - 足ることを知らず〜Don’t feel satisfied 〜

ニコニコで今まで有名人のニコ生を見たり、野球の試合を見たりするのは広告収益やプレミアム収益にしたがって、限りなくフリーに近い形で供給されてきたわけです。それがネットにおけるサービスの費用対効果感覚に近いものだったからです。ある意味、フリーの呪縛とも言えると思います。今回のネットチケットは、この仕組みを大きく変えることになります。
明らかに、リアルにおけるサービスの費用対効果感覚を元に、価格設定を行っている。リアルチケットに相対する、ネットチケットという概念なのです。

端的に述べれば、

無料で見れたものが1000円になるのはありえない。(ネットベースの費用対効果感覚)
4500円のものが1000円で楽しめる。(リアルベースの費用対効果感覚)

っていうことなんですね。

ネットにおけるFREEの呪縛を解き放つのは、「リアル」の経済感覚に錯覚させるしか方法がないのです。


これで、「プレミアム会員に出来ないこと」がいくつか出てくるようになると思います。
むしろ、「プレミアム会員だけでは、ニコニコを楽しみきれない」という感覚になってくるのかもしれません。

顧客ロイヤリティがある程度まで高まれば、リアルと同等、若しくはネットゲームのようにリアルを大きく超えた価格感度を実現出来るのかもしれません。