足ることを知らず

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広告新時代に対する私の考え①

以下に広告業界について僕が考えていること、既存の概念に対する私の感想を述べます。完璧な愚見です。


「今、広告業界は厳しい」と言われ、しばらく経ちました。
http://www.tdb.co.jp/report/industry.html
上記の様に、広告代理店は世界経済の落ち込みに連動して短期的に業績が芳しくない業界であると予想されています。
例えば、企業が一番最初に切る「3K=交通費、広告費、交際費」は有名な話です。厳しい情勢の中、広告費を切るというのは当然の意思決定でしょう。
しかし、短期的な見込みだけでなく、今のままでは長期でも苦しい業界だと感じているのです。


広告というプロセスは経営学でいえば、マーケティングの4P、Promotionの中の選択肢に過ぎません。
そして、どのクライアントであろうと広告という行動プロセスがバリューチェーンに含まれることはないのです。広告がバリューチェーンに含まれるのは媒体と広告代理店だけなのです。
要は、企業の価値創造に関して広告というのは何ら影響を及ぼさないということです。影響を及ぼす場合があったとしてもかなり微々たるものでしょう。広告投資に関しては元2ch管理人のひろゆきが言っている通り、短期的な競争力へのカンフル剤になっても、根源的な将来への投資にはなりえません。その意味で、広告というものに価値を置くクライアントが益々少なくなっていくのは容易に予想が出来るのです。
例えば無形価値の「ブランド力」というのは広告でしか養えないという方もいるかもしれませんが、少なくともブランド力と広告への需要は反比例します。トヨタは多くCMを打ちますが、それはCMを打つからではありません。スタバ、フェラーリ等、強力なブランドを持つ企業はCMに頼ることはありません。顧客とのコミュニケーションを代理店を挟まずに形成するのです。それが本当のブランド力でしょう。

そして、これまでの広告というのは実に不透明な料金構造になっていました。要は代理店とマス媒体の利益が高く設定されていたということです。ブラックボックスから出てきたら、ぼったくりとも言える高い取引手数料を取られていた状況がありました。それも、昔であればよかったと思います。代理店マンの飲み会、その他リアルベースでの交渉術というのは実に「価値ある」ものでした。
しかしながら、売上と同じ位、コストが重視される現代ではこの「交渉術」という無形の価値が果たしてクライアントにとってどれほどの価値を持つのかという疑問が生まれてきます。

クロスメディアという概念にも疑問を感じます。あれは、未来の広告が発展するための概念なのでしょうか?大手代理店とテレビ局が生き残るための苦肉の策だと思っています。「効果的な広告方法」に見えますが、実は「収益率の高いマス媒体を殺さずに生かす方法」なのです。苦肉の策にしては本当に素晴らしい戦略だと思いますが。唯一の明るい話と感じるかもしれませんが、全然明るい話ではないのです。



私は広告業界が発展していくためには以下の様な抜本的な改革が必要だと思うのです。兎に角、今の状況では末期がんに苛まれても手を拱いているに等しいのです。
①コストの削減・透明化・・・クライアントの課題の体系化と解決案の体系化、広告のシステム化、治療的広告
②収益構造の改革・・・AISASモデルにおけるshareでの課金、クライアントからではなく、生活者からお金を取る

これらについてはまた機会のある時に述べたいと思います。