足ることを知らず

Data Science, global business, management and MBA

はてブマーケティング戦略を考えてみた。

 ついに、この「足る知ら」も初めてのエントリを書いてからそろそろ一年経つなぁということで、はてなブックマークについて感じた「獲得のコツ」みたいなものを記してみたいと思います。注意したいのは所詮このエントリはお遊びなので、別にはてブの獲得方法をガチで考えたものではありません。悪しからず。

 ただ単に、こうするとはてブ取れますよ!なんて言ったところで、僕自身、そんなにはてなブックマークを獲得しているわけではありませんし、説得力がないと思います。なので、従来の経営戦略の力学を用いてはてブを分析してみましょう。
 
 今回用いるのは元Mckの大前研一さんが提唱した3C分析。企業戦略を構築する際にCompany(自社)、Customer(市場)、Competitor(競合)の分類を用いるフレームワークです。

はてブを獲得する目的
コメント欄のように、自分のアウトプットに定性的な反響が来ること、ランキング等で自分のエントリの定量的な反響の大きさがわかることがメリットだと僕は思っています。
 これは、blogを継続する大きなモチベーションになります。blogじゃ続かないけど、mixiなら続くというのは、結局、「反響」のファクターが大きいのです。でも、どうせなら身内じゃない人に反響をもらった方が色んな化学反応もありますし、勉強になります。これらの効果はPV数やRSS登録等の指標に現れます。
 これって、blog内のアフィリエイトとかにも影響が大きいかなと思います。お金的なモチベーションね。ついでに僕は半年間、Amazonさんからも、Googleさんからも一銭も頂いておりません(笑)。アフィはblogの付加効果であって、これ自体が目的化すると書いてても楽しくないでしょうからね。

少なくとも僕は、はてブが全くつかない状況であれば、blogを一年間続けることは難しかったかなと。


さらっと、はてブについて流したところで、早速本論に入りたいと思います。

はてブをつける流れ
さて、3C分析に移る前にはてブ数ってどのようなプロセスを経て増えていくのか考えてみましょう。

 まず、あなたのエントリを見に来る人がいます。RSSから来たのか、GoogleからはたまたTwitterから来たのかはわかりません。この数を増やすには、「誘導経路」を増やすこと。お友達のblogにリンクしてもらうもよし。ランキングサイトやあわせて読みたいなんかも有効かもしれません。

 このあと、しっかりblogを見てくれる人と見てくれない人に分かれます。直帰率を下げるということですね。デザインや文面がモノを言うでしょう。

 ここまでは、戦略っていうよりもそもそも内容に移るまでの基本のお話です。ここまでの話は僕が全くこだわっていない部分なので割愛します。商品で言うと、販売するお店や包装にあたります。例えば、売っているお店が極端に少なかったり、包装が著しく汚かったりしたら、そもそも商品内容に辿り着かないうちに見捨ててしまうわけです。実はこれもマーケティングの4Pに当てはまる結構大切な要素なのですが、こだわる人はぐぐってみましょう。

 次に、blogを読んだ後に、「いい文章だったなぁと思ってくれる人とそうでない場合」に分かれます。ここが実は内容の善し悪しだけで決まらない、戦略的な部分なのです。競合(同じような内容のblog)であったり、自分自身のプロフィール(あなたの立場等)が結構モノをいったりします。

そしてやっと、はてブに登録してくれる人と、そもそもはてブを使っていない人に分かれるわけです。これは正に「市場」ですよね。

はてブ指数関数的に伸びる指標です。はてブの一つ一つがリンクになって「誘導経路」を増やしますし、はてブから来てるので、はてな民であることは疑いがなく、いい文章だと思ってもらうという条件を満たせば、はてブしてもらえる確率は極めて高いといえます。なので、最初の方はつかなくても絶対にあきらめないこと。0か1かに近い増え方をするので。最初は、自分が納得するアウトプットをし続けることが大切だと思います。


自社を知ろう。
 「足る知ら」は最初、僕が専攻している技術経営とか、経験したばかりだった就職活動について書くつもりだったのですが、なかなかいいアウトプットが出来ませんでした。「ニコニコ動画とyoutubeの最も顕著な差がコメント機能」なんていうのは最早時代遅れだと思う。 - 足ることを知らず〜Don’t feel satisfied 〜をきっかけにニコ動について書き始め、はてブを獲得できるようになったという経緯です。


 考えてみれば、これは当然のことなのです。例えば、僕が「素晴らしい経営者になる5つの方法」というエントリを書いたとしても全く説得力がないわけです。そもそも、社会人ですらない僕が偉そうに「経営者は〜キリッ」と言っても、説得力0です。そして、経験のない人間が書いた文章は確実に「抽象論」になります。抽象論自体が悪いわけではないのですが、抽象論が評価されるのは肩書きのある人間が述べた「様々なimplicationを含む」場合に限られます。まぁ、「深イイ」ってやつでしょうか。




 即ち、具体的であり、自分の立場を踏まえた効果的な(違和感のない)アウトプットというのが大切なのです。



 競合にも関わりますが、そもそも貴方はそのエントリの際に「表現方法=わかりやすさ」、「視点=エントリの切り口」、「新規性=誰も言及していない」といういずれかの点で差別化をしているかということになります。

 例えば、僕がニコ動についてエントリを投稿しているのは、「ニコ動のいちユーザー」でもアウトプットが認められるからです。「いちユーザー」であれば、彼が経営者でも、僕のように大学生でも差がない。それに、僕がwebを開くとすぐにニコ動を開くほどのニコニコaddictだから、使用量で著しく負けるということがないのです。


競合を知ろう。
 さて、実ははてなにおいて競合は完全なる「敵」ではありません。どころか、最も強力な味方だったりします。
経営戦略の場合、例えばビール会社だったら、競合にどう負けないか考えます。一人がビールを飲める数が限られているからです。トレードオフが存在しているので、選ばれなければ、シェアを取られてしまうのです。

 しかしながら、はてブトレードオフがほとんど存在しません。別にコストはかかりませんし、皆さん気軽にはてなブックマークしているはずです。(これはブラウザやツールによって大分違うでしょうが。)なので、はてブにおいては経営における競合と全く逆のことすら起きるのです。
 実は競合を「倒す」ことが目的ではありません。むしろ、競合のエントリにどのように追加価値を乗せたアウトプットを出すか、競合のエントリをいかに効率よく処理し、インスピレーションをもらうか、そのジャンルの「ホット」な話題は何なのかを知ることが、この「競合を知る」目的になります。

 競合を知る上で一番いいツールはBlogopolisです。「あわせて読みたい」でもいいのですが、ジャンルやblogだけでなく、エントリ単位に合わせた競合を知りたいものです。blogopolisは、各blogのエントリ単位での勢力図が一目瞭然です。
 そして、自分の競合となっているblogの一番の人気記事を精読しましょう。互いの人気記事を読みあって、お互いに面白いアウトプットが出来れば、これ以上のコミュニケーションはありませんし、はてブも必ずついてくると思います。論争において、論争者のはてブが伸びる理由は、この構造とまったく同じなのです。勝間さんのデフレ退治提案論争は「論争」のパラダイムシフトだ。 - 足ることを知らず〜Don’t feel satisfied 〜

大切なのは「競合との相乗効果」なのです。

市場を知ろう。
 市場の分析において、利用するのはブログランキングサイト [TopHatenar]Blogopolisです。
 市場を知る目的は日記を書くテーマやジャンルを設定する際に、「そもそもそれって、はてブを獲得するのに美味しいジャンルなの?」ということです。

 美味しさはそのテーマの「市場規模」で決まります。
ここで注意しなければならないのは「今までの累計」で判断してはいけないということです。今までの累計で判断してしまえば、古いblogだったり、古いテーマほど有利です。
 
具体例として「エントリ別の最高はてブ数」を調べましょう。これはTophatenarが一番だと思います。

Tophatenarで部門別のランキングを見てみました。[TopHatenar] 部門別ランキング

今回はvip代表として、ハムスター速報さん、ビジネス代表として、Life is beautifulさん、ニコニコ代表として敷居の先住民を抽出してみました。
※実は、ハム速跡地の方が最高はてブ数は多いです。

直観的にわかることとして、多くのはてブを獲得するにはより複数の市場にまたがったテーマでエントリを書くことが重要になるのです。
http://hamusoku.com/archives/1982490.html
Life is beautiful: ソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ている
firefox3対応のお薦めアドオン16個+Greasemonkey - 敷居の先住民
すぐに気付くのは最高のはてブを獲得したエントリは「自分のブログの属するテーマを中心に、離れたテーマを巻き込んだもの」である場合が、多いということです。即ち、自分の市場から拡張していることが特徴として挙げられるのです。

いくつのジャンルを巻き込めるのか。
これが市場を考えた時のはてブ獲得のコツです。

 例えば、純粋にニコニコ動画だけに言及しているエントリというのはあまり伸びません。
ニコニコとフリーミアムを絡めたり、プログラミングを絡めることがはてブを伸ばす第一条件になるのです。
GiGirさんの60分間プログラミングが面白い - 未来私考が自分が知っている中ではニコニコ言及のエントリで一番ブックマークの高いものになっています。

で、拡張する時なんですが、自分の属するジャンルのトップエントリがどのジャンルにランクインされているか見てみましょう。複数ジャンルにエントリされている場合、そこが「拡張しやすい」ジャンルなのです。
例えば、Life is beautifulさんを見てみれば、 「business」は「プレゼン」、「経営」、「iphone」なんかと相性がいいようです。(※ただ、これは互いに内包関係にあったり、同義語であったりする場合も多いので、自分なりに拡張しやすいジャンルは考えていきましょう。)

個人的にはてブをつける時のインサイトを考えてみると

・周りのヒトに教えたい
・備忘録的に残しておきたい
・びっくり・感動等の一発ネタ

はてな民は一般にITリテラシーの高い集団と言われます。このため、プログラミング系のエントリにブックマークがつきやすいことが挙げられます。ただ、プログラミングが出来ないからといってあきらめる必要は全然ありません。

例えば、ライフハックは具体的且つ、誰でも書ける凄いジャンルだと思います。拡張範囲も広い。下のエントリなんかは、気取らないライフハックの一例ですよね。
http://masuda.livedoor.biz/archives/51358450.html


時間を知ろう。
これに加えて、ネットのマーケティングでとても重要なのが、分単位での「時間」です。何曜日、何時何分に更新するのか。
これに関しては、今回の範囲でありませんが、狙うセグメントによって変えてみるのがいいようです。

例えば、社会人にセグメントを合わせていれば、金曜の夜から土日にかけて。無理な場合、平日の夕方から夜7時頃にかけてがよいでしょう。こればっかりは書いてみないとわからないです。


最後に
今まで書いてきたことをぶち壊すようですが、blogを書くというのは決して「はてブを獲得するため」ではありません(少なくとも僕の場合は)。自分の考えを文章に落とすことで、考えをまとめるというのがメインなのです。ただ、せっかく外に向けてアウトプットを行うのだから、反響は悪かろうが良かろうが大きい方がいいよねという話です。だから、はてブにこだわり過ぎて、書きたいことが書けなくなるような状況だけは避けたいものです。

エントリを書くのを「楽しみながら」、戦略的に「見てもらい、気に入ってもらう努力をする」というのが、実は定期的な更新とはてブ獲得に欠かせないのかもしれません。