足ることを知らず

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環境と適合

我が地元の愛知に出来た海陽学園wikiを見ていた。

全寮制の中高一貫制男子校である。トヨタ自動車JR東海中部電力などの中部地方の有力企業が中心となり設立され、2006年4月に開校した。

イギリスのパブリックスクールである名門イートン校をモデルとし、同校から教師を招いている。

また、全寮制の学校であるため、ハウス(寮)での生活を通じ、自由と規律、独立心と協調性を養成する。「エリート教育」を掲げているため、内外から第一期生の大学進学実績が注目されている。理事長はトヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎。校長は東京大学名誉教授で元開成学園校長の伊豆山健夫から2009年4月に東京大学名誉教授で元産業技術総合研究所理事の中島尚正へ引き継がれた。


* 1学年は120名(1クラス30名×4クラス)の少人数教育となっている。
* 後期課程(:高校1年に相当)からは習熟度別のクラス編成で扱うテキストも異なる。
* 海陽学園の授業は平日は50分7時間、土曜日は50分4時間で行い、英語・国語・数学の主要3教科は一般的な公立学校の2倍の授業を実施することになっている。
* 主要三教科は4年(いわゆる高校1年)までに修了し、残りの2年間は海外の大学進学も視野に入れた学習を行うことになっている。だが、中高と1年ずつに分かれている。

と、結構教育プログラムは豪華。
なかなかに目を引いたのは

全寮制の学校である海陽にはハウスごとに教員免許を持つ「ハウスマスター」と呼ばれる教師が各ハウスの1階の専用の住居に住むことになっており、勉強面や生活面などで支援を行う。「フロアマスター」はトヨタJR東海中部電力などの企業から派遣され、各ハウスの各フロアに1人ずつ住み生徒達と交流を深めたり相談に乗ったりする。


という内容。企業から学生寮へ人を派遣するというのは多分今までになかった発想である。

で、内部の詳細情報を細かく知っているわけではないので、よくわからないが

何故、この豪華絢爛な学校が失敗しているかである。

入試倍率もだんだんと落ちてきているし、偏差値も高くない。

東海、滝に全く近づけていない。

僕は高校の頃寮生活だったので断言できるが、「寮にぶち込んで素晴らしい環境で勉強に集中させれば成績が上がる」のは間違いない。ただ、「素晴らしい環境」にはとても大切な要素があるのだ。


それは「競争」の概念である。

これは本当に大事な要素だ。

スポーツの強い学校を見ればわかるが、彼らが圧倒的な力を持つのは「強いやつを集めているから」だけではない。
そのチームにとてもレベルの高い競争原理が働いているのである。
これは大きい。生半可なところで満足を感じないのだから。

これは僕の主観だが、どれだけ環境を整備しても、一番になってしまうとつまらないものだ。

自分よりも「上」が常に存在する環境が必要なのである。
その点、海陽学園に高い競争意識はあるだろうか。

これは完全な仮説だが、あるとは思えない。
何故なら競争意識の強い人間はこの学園にあまり入ろうとは思わないと思う。

整い過ぎているのである。環境が整い過ぎていて、全てが「与えられている」。
競争意識の強い人間とは我が強く、そしてハングリーである。

大きなお世話かもしれないが、この学園には「仕組み」が新たに必要かもしれない。
成績によって大きく待遇を変える、勉強部屋を相部屋にする等。

恵まれない環境が実は競争への一番のスパイスだと感じる。