足ることを知らず

Data Science, global business, management and MBA

書評:実行力 結果を出す「仕組み」の作り方

橋下元大阪府知事、元大阪市長の書籍を読んだ。

正直言って、結果論から書かれていると思ったのが結論だけど、橋下さんがおっしゃる通り、結果論が全てだと思う。その考え方のプロセスよりも、結果が兎に角重視されるべきである。

 

 

大阪都構想に関して、橋下さんは、むしろ本書籍でプロセスに重きをおいた話をされておられる。それは、何より結果として負けたからである。しかしながら、それ以前のトピックにおいて、橋下さんが上位機関=国、下位機関=大阪府大阪市に対して法律家としてのバックグラウンドを活かしながらバランス良く立ち回ってきたことが伺える。そして弁護士だったからこそ、少しずつ意思決定者と意思決定を促す者の立場を明確にしながら、各々に必要な情報疎通の、政治の仕組みを作っていった。

これは外資でも通用する方法で、「自分のポジションだからできること」を突き詰めることだと思う。部下ができることは、絶対にやってはいけない。むしろ今のポジションだからできることを突き止め、それを決められる適切な情報を求めるべきなのだ。

部下に100%論理的なレポートを求めてはいけない。自分が消化できるレベルの要約であるべきだが、その要約はあくまでニュートラルであるべきだということ。しかしながら、そのレポートを説明するときにはパッションを思い切りぶつけてほしい。

端的に聞けば矛盾だらけだが、実際に大きな組織で企画を通すときにはこのプロセスしかない。絶対解がない以上、「みんなに納得感があり、自分が絶対感を持てる解」が重要になる。それを自らの経験を元に語ってくれたのが、この橋下さんの書籍だと思う。

 

別に橋下シンパでもなんでもないが、彼以外にあのロールを完遂できた人間はいないのではないか。確かに選ばれたきっかけはマスメディアに持ち上げられた弁護士、それ以外の何者でもなかった気がする。しかしながら、溢れんばかりの客観力と大阪に対する思い=主観で彼は数々の常識を変えた。変える概念を出したのではなく、実際に変えるところまで持っていった。

 

その時の必死さやハングリーさが伝わってくる文章であり、ちゃんと仕事をしている大組織の人間にはうんうんと頷ける内容である一方、同じことは絶対できない。どう自分の能力や立ち位置とアジャストしていくかちゃんと考えて読むべき本である。