足ることを知らず

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広告からコラボレーションへ

媒体に広告を出すという考えはもう古い

まだ働いていない僕が言うのもなんだけど、広告をどの媒体に出すかということが論点になる時代が過ぎ去ろうとしているのではないかと感じている。

即ち、「媒体」という概念の重要性自体が失われつつあるように思う。少なくとも媒体という概念はクライアントと生活者を結ぶ部分として扱われてきた。だからこそ、媒体自体が明確な意図を持っている場合は少ないし、あくまで「手段」としての「媒体」という言葉が一般的だったわけだ。

即ち、クライアントが生活者に対してどうしても伝えたいことを「メガホンを用いて」話すのか、「糸電話を用いて」話すのかといった様に、「どのように伝えるかのツール」としての媒体という概念が強かったように思う。

これが既に古い。


コラボレーションの定義
http://www.kirin.co.jp/brands/kokunojikan/
DARTSLIVE GROUP

上の二つのケース、特に後者のダーツライブのケースは非常に面白かった。
ダーツにおいて、ブル(ど真ん中)に矢が刺さった時の音は重要である。DARTSLIVEという会社は5年で全国各地にあるダーツバーにおける相当のシェアを獲得したわけだが、そのコアはカードシステムと各アワードの表現、そして何より矢が刺さった時の音にある。

そこで、ダーツライブ社はコカ・コーラとコラボレーションし、ブル音をコーラの栓抜きの音にした。このキャンペーンの素晴らしい点はいくつかある。

・コカコーラとダーツバーという場所の親和性
カクテル等、コカコーラがダーツバーにおいて消費される機会は多岐に渡る。ダーツのみでなく、くじ引き等、コカコーラ社ドリンクの消費に伴う従来の様なキャンペーンを行ったことも大きな要因になる。

・ブル音の変化はプレイヤーの間にinfluenceしていった。
この音の変化は特定の店でカードを借り、自分のカードと対戦させることで獲得することが出来る。しかし、このブル音の変化を知ったのはホームページやお店ではない。ダーツをプレイしている時、隣のダーツ台から妙な音が聞こえるなというところから認知したのだ。これはプレイヤー一人一人がインフルエンサーになる。


これまでは既存の「媒体」というメガホンに声高に言いたいことを叫ぶことが広告だったかもしれない。でも、メガホンで叫ばれることに皆が慣れ過ぎて、誰もその声を聞かなく(若しくはあまり気にしなく)なってきた。

この時、新しい「声」の形として発生したのが、コンテンツホルダーが「共に声を上げてくれる」広告の形だ。

そのためには一緒に声をあげてくれるコンテンツホルダーの利益も考えなければならない。コンテンツと「イイタイコト」の親和性も重要だ。


そうすると、既存の媒体にはコンテンツ性が必要となる。何より、自立したコンテンツを作らねば未来はないのだ。